第45話 甘味を嫌いな人はいない!


女神フリージアから来たメールを開くと、そこにはまたしてもデカデカと【おかわりを下さい!!】と一言だけ書かれており、俺は仕方なく取っておいた残りのプリンを今度は2つ送った俺だが


(てか、よく考えたらフリージア様ってオムレツとプリンを食べたあとに、またプリンを食べるって事だよな!恐るべし、女性の別腹)


と、心の中で思っていると再び女神フリージアからメールが届いた。


【先程は取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。実は送って頂いたプリンを小娘ビクティーに食べられてしまって、少々揉めていたので先程は簡単なメールしか送れませんでしたが、ちゃんと折檻しておきましたのでもうこの様な事は無いでしょう。そんな事よりも、このプリンは本当に美味しいですね!!圭太さんから今まで沢山の料理を送って貰いましたが、その中でも1番気に入った程です!!私としては、これからも甘味を送って頂けるとありがたい所ですが、その件に関しては圭太さんにお任せ致します。それから、今回はプリンを2回分送って頂いたので明日の分は無くても大丈夫です。あっ!でも、圭太さんがどうしてもと言うのであれば毎日でも構いませんからね!それと、現在圭太さんがいらっしゃる場所には教会が有りますのでぜひ礼拝に来てくださいね!短時間ですが、またお会いする事が出来ますので、楽しみにしています。できれば美味しい物を持って来て頂けると嬉しいです。それではこの辺で失礼しますね!】


「……教会とか面倒そうだし無しで!」


メールを読んだ俺は、明らかに面倒な事になりそうなので、教会へは近づかない事にしようと硬く誓った。


その後、食事を済ませた俺とカーラは魔法で作った簡易住居で一晩を明かした後、(もちろん一人一部屋用意したよ!決して一緒に寝るなんて事はして無いからな!)俺はマオ・カーマギルマスに頼まれた「剣聖」への手紙を渡しに行くため、再び冒険者ギルドへと足を運んだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


カーラと共に冒険者ギルドへの中に入ると、そこにはテッサリアの街では見ることの出来なかった、俺が夢にまで見た光景が広がっていた。


屈強な男や魔法使いの女性たちがクエストボードの前でたむろし、昼間っから酒場でビールの様な物を木で出来たコップで飲んでいる冒険者、そして俺の目の前にいる見た目だけはやたら厳ついくせに、明らかに噛ませ犬感が漂う冒険者!


「おおー!これだよこれ!!この光景こそ、俺が夢にまで見た冒険者ギルドの光景だよ!テッサリアだと変態ばっかで全然見る事の出来なかったこの光景が欲しかったんだよ!」


俺がはしゃいでいると隣にいるカーラが俺のコートの袖を引っ張りながら


『ご主人様。目の前にいるこの者達はどうするのですか?』


と聞いて来たので、俺は目の前にいる冒険者達の方を見る。

すると、1番厳つい男が俺に向かって怒鳴って来た。


「テメー!さっきから人の事を無視しやがって!舐めたんじゃねーぞこら!」


俺は怒鳴っている男に対して


「えーと、もしかしてこれって俺、絡まられてる?」


と聞くと、男は顔を真っ赤にしながら額に青筋を浮かべて、俺の胸ぐらを掴んできた。


「いい度胸だなテメー!先輩に対しての礼儀を教えてやるから表でろや!」


と言ってきたので、俺は真面目な顔で一度だけ注告をする。


「今すぐその手を離してください。そうしないと……腕、無くなりますよ」


「上等だ!やってみやがれ!!」


俺の注告を無視して男は更に腕に力を込めて来たので俺は一言


「やれ、カーラ」


『はいご主人様』


ザシュ!!


ゴト!


俺の合図と同時にカーラが爪を変形させて、俺の胸ぐらを掴む腕を切り落とした。

すると、男は数秒してようやく自分の腕が切られたの理解すると、血が流れている手を押させながら


「いてー!いてーよ!なんだよこれ?どうなったんだよ一体?!俺の腕がー!!!」


男は蹲りながら何度も叫び声を上げる。

そんな光景を見ている、後ろにいた取り巻きどもは怯えた目をしながら男と一緒にどこかへ行ってしまった。


「なーんだ、本当に噛ませかよ!つまんねーの!」


『そうですね!大した事ありませんでした』


俺がそう言うと、カーラはつまらなそう声でそう言って爪を元に戻した。


「さて、取り敢えずテンプレは終わったから、受付の方へ行くとするか」


『はい』


俺とカーラは受付の方へと向かう。すると、昨日迷惑をかけた受付嬢の人がいたので、俺は話しかける。


「あのー、すいません。お聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」


俺が話しかけると、受付嬢の人は一瞬値踏みする様な目をすると、すぐに笑みに戻してから


「はい、大丈夫ですよ。貴方は確か昨日、扉を壊した人ですよね」


「ははは、昨日は申し訳ありませんでした」


「いえ、ギルドの備品が壊れる事は良くありますから別にお気になさらないで下さい。まぁ私の知る限り、扉を壊したのは貴方が初めてですけどね」


「そ、そうですか。本当にすいませんでした。それでですね、実はとある人物の居場所を知りたいんですが」


受付嬢からの遠回しの皮肉を受けながら、俺は本題に入った。


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