第44話 念願の卵


無事にカーラの冒険者登録が完了したあと、俺はカーラを連れて紙に書いてあった西の森へと向かった。


「ふふふ、ついに念願の卵を手に入れる事が出来るぞ!ふふふふふ」


森へ向かう道中、ずっと不気味な笑みを浮かべていた俺にカーラが


『ご主人様?なんでそんなに笑っているのですか?』


「ああ、実はなカーラ!ついに夢にまで見た卵がこの森にあるようなんだよ!これでオムライスやスイーツが作れるようになるぞ!」


『ご主人様。それは美味しいのですか?』


「もちろんだカーラ!楽しみにしていててくれ!」


『はいです!』


しばらくすると、目的の森の入り口に到着したので、俺はスキル「千里眼」と「鑑定」そして「気配感知」を使って、目的やコケッコッコーを探す。


「うーん、いないなぁ〜?おかしいな、確かにこの森にいると書いてあったんだけどなぁ〜」


俺がコケッコッコーを探していると、周辺を警戒してくれていたカーラが何かを持って戻ってきた。


『ご主人様!見て下さい、あっちにこんなものが落ちていましたよ!』


「何を見つけたのかなって!これってまさか!」


カーラが見つけたものがなんなのか、俺はすぐに分かった。


「でかしたぞカーラ!これは間違いなく卵の殻だ!これはどこにあったんだ?」


『えーと、あっちの方です!』


「よし、いくぞカーラ!」


『はいです!』


俺は卵の殻を見つけた場所へ走る。

すると、スキル「気配感知」に反応があった。それも一匹や二匹などではなく、最低でも十匹を超える数だ!

俺は「千里眼」を発動して周辺を調べると、ついに奴等を発見した。


「いたー!!」


俺はカーラの手を引きながら発見した場所にむかうと、そこには地球で言う所の鶏に似た鳥、コケッコッコー達が何匹もいた。

コケッコッコー達は俺達を見ると一目散に逃げ、その場にはコケッコッコー達が産んだ卵が大量に残されていた。


「あっ!そう言えば、コケッコッコーは警戒しんが強くて危険を察知するとすぐに逃げるって書いてあったような気がする……まぁ良いや!とりあえず全部貰っちまおう!」


俺はその場にあった全ての卵を片っ端から【コレクター】のスキル「収集」を使って集めて「アイテムボックス」へとしまっていく。


「よっしゃー!ナイスだぜカーラ!これで卵ゲットだ!」


『やりましたねご主人様!』


「とりあえず、王都の近くにある草原まで行こうか!」


『はい!分かりましたご主人様!』



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


卵をゲットした俺たちは城門近くの草原まで戻ると、土魔法でキッチンを作り、早速スイーツ作りを始めて行く!

ちなみに、カーラは疲れたのか眠ってしまったので、俺は簡易ベットを作って寝かせている。これから作るスイーツは時間がかかるのでちょうど良い。


「よし、それじゃあ始めて行くとしようか!

やっぱり卵を使ったスイーツって言えばプリンだよな!まずは、さっき取った卵を割って、そこにミルクと砂糖を加えたら混ぜる!そしたら、土魔法で作った形にカラメルと卵液を流し込んでオーブンで焼いて行く!蒸すのも好きだけど、やっぱりプリンは焼いた方が俺は好きかな……それにしても、焼き上がるまで暇だなぁ〜。もう一品作るかぁ〜!」


俺は焼き上がるまでの時間で、さらにもう一品作る事にした。ちょうど夕飯の時間なので、次のメニューは卵をふんだんに使ったオムレツだ!


何?手抜きじゃ無いのかって?


ふふふ、ただのオムレツだと思って侮るなかれ!俺が作るオムレツの中には、たっぷりのチーズと色とりどりの野菜なんかを入れた特製のオムレツだ!そしてソースには特製トマトケチャップをかけた最高の品だ!


「よし、そろそろプリンもいい時間だ!」


俺はオーブンからプリンを取り出すと、氷と水の入ったバットに並べて冷やして行く。

半分ほど冷えたら、俺とカーラ、そしてフリージアの分を残してあとは「アイテムボックス」へとしまった。


俺はオムレツとプリンをフリージアに送ると、カーラを起こして夕食を食べる。


「それじゃあ、頂きます!」


『頂きます!』


俺とカーラは揃ってオムレツを食べる。


パク!!


「『うーん!!美味しーい!」』


「美味いなこの卵!地球のよりも濃厚なのに、食べやすいなこの卵!次はプリンの方も食べて見るか」


パク!


「う、うめぇ〜……やばい、なんか涙が出てきた」


俺はプリンを食べると、上を向きながらそう呟く。この世界に転移して来て、はじめてのスイーツに俺の体は今まさに喜びに満ち溢れていた!!


俺が感動していると、頭の中から聞き慣れたあの機会音鳴り響いた。


ピロロン!


俺はメール欄を確認すると、やはり女神フリージアからメールが来ていた。それも、メールの所に[緊急!すぐに読んでください!]とデカデカと書かれていたので、俺は溜め息を吐きながらメールを開いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

補足

コケッコッコー

説明

鶏に似た生物で赤い鶏冠と白い羽毛が特徴。

一日に最低でも卵を5個ほど産むので、生産力は強いがその代わり臆病ですぐ逃げる上、ストレスで死にやすいので、飼うことが出来ない。そのため、卵は非常に高価

鳴き方は「ココッコケケッコー!」

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