第42話 カーラの実力と王都到着


翌朝


簡単な朝食を食べた俺とカーラは、王都へと続く街道を歩いていた。


『ご主人様。王都まではあとどのくらいかかるんですか?』


「ん?そうだなぁ〜。この調子で行けばあと半日程度だと思うけど、途中で邪魔が出るだろうからもう少しかかるかな?」


俺がそう答えるとカーラは不思議そうな表情をしながら質問してくる。


『ご主人様。その邪魔ってなんですか?』


「ああ、それならそのうち……」


俺がカーラからの質問に答えようとした時、街道沿いの林から盗賊が十人程現れたので、俺はわざとらしく狼狽える。


「な、なんだお前らは?!」


すると、先頭にいる1番強そうな男が笑いながら


「ガハハハ!命が惜しかったら身ぐるみ全部置いていけ!!」


と、なんともお決まりのセリフを吐くので、俺は


「本当に命は助けてくれるのか?」


と聞くと、男は下卑た笑みを浮かべながら


「ガハハ、もちろんだとも!俺は寛容だからな!」


俺は男のその言葉を聞いて心の中で


(いやいやいや、明らかに嘘だろあれ!どう見ても見逃す気ないよな?……まぁ、そっちの方が罪悪感無くやれるから良いんだけどさ)


どう見ても約束を守る気の無い盗賊たちに対して、俺は同情や容赦など一切必要しないと決めているので、目の前にいるこいつらを皆殺しにする事が決定した。


(そうと決まれば、カーラの実力がどんなものか見る為にも、この盗賊たちには生贄になって貰うとするか)


早速俺は、昨日決めた通りカーラに戦わせてみる事にした。


「よしカーラ、いい機会だから目の前にいるこいつらと戦ってみろ」


俺がそう言うとカーラは笑顔で


『えっ?!本当ですかご主人様!!やったー!久しぶりに暴れられる〜!!』


と、両手を万歳させながらはしゃいでいるカーラに俺は少し顔を引き攣りながら


「あはは、くれぐれも死なないようにしろよ。もしやばかったら助けてやるから安心して暴れてくれ」


『はいご主人様!行ってきます!』


そう言ってカーラは盗賊たちの元へと歩いていく。


カーラがリーダーらしい男の前へ到着すると

男は笑みを浮かべながら


「どうしたお嬢ちゃん?」


と言ってカーラを触ろうと手を差し伸べる。

すると


ペン!


カーラはその手を払い除けてから男を睨みながら、先程とは明らかに違う声色で


『ゴミがカーラに気安く触れようとするんじゃ無いです。カーラに触れて良いのはご主人様だけです!』


そう言ってカーラは、右手に黒い炎を纏わせて男の腹にパンチした。


パン!!


「ぐれは!!」


男は叫びを上げながら倒れると、口から血を吐きながら


「た、たすけて……」


と、断末魔の叫びをあげながら死んだ。


「に、逃げろー!!」


「「「「うわー!!」」」」


それを見た他の盗賊たちは一目散に逃げようとしたが、カーラは両手と両足を変形させながら


『逃がしませんよ!!』


と言って、逃げる盗賊たちの元へ突っ込んでいく。


べき!


「ぐわー!」


ぼき!


「助けてくれ!」


ガシャ!


「う、うわー!」


グチャ!


逃げる盗賊たちに、カーラがその鋭利な爪を振る事に盗賊たちは断末魔の叫びあげて死んでいく。


一方俺は、その光景を見ながらコーヒーの様な飲み物を飲んで一服していた。


「まさかここまでやばいとは思わなかったわ!まぁ、これなら安心して見てられるから良いけど」


俺はコーヒーもどきを飲みながら待っていると、全身を返り血で濡らしたカーラが戻ってきた。


『ご主人様!終わりました!』


「ご苦労様カーラ。服を洗ってやるから待っててくれ」


俺は、褒めて欲しそうな顔をしているカーラの頭を撫でながら生活魔法の「クリーン」を使って服についた血糊を落としてやる。


『ありがとうなのですご主人様!』


「いいんだよそれくらい。それじゃあ先に進もうか」


『はいなのです!』


俺はカーラの手と繋ぎながら、死体と血溜まりだらけの街道を歩いていく。



あっ!もちろん死体はちゃんと片付けたから安心してね!


**************


一時間ほど歩いていると、およそ3キロ程先にまるでドイツのノイシュヴァンシュタイン城の様な城とその城を囲んでいる城壁が見えてきた。


「おっ!ようやく王都に着いたみたいだな!」


『やったですね、ご主人様!』


「よしカーラ、行くぞ!」


『はいなのです!』


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


城門に到着した俺は、身分証となる冒険者カードを見せた後、衛兵から簡単な質問をされて、ようやく王都「ローラン」へと入る事ができた。ちなみに、カーラに関しては俺の従者と言う事にしたら、問題無く入る事ができたので良かったが、衛兵からは白い目で見られたのでちょっと嫌な気分になった。

流石に従者と言えど、カーラの見た目は10歳程度なので、しょうがないと言えばしょうがないが、なるべく変な誤解をされたく無い俺はカーラにも身分証をつくる事にした。


王都はテッサリアよりも綺麗に整備されていて、街並みはまるでパリの様だった。


「おお!流石王都と言うべきだな!色々と見て回りたいが、まずはカーラの身分証を作る為に冒険者ギルドの方へ行くとするか」


『はいご主人様!』


事前に衛兵から場所を聞いていた俺はカーラをつれて、ギルドのある街の中心へと向かう為大通りを歩いていると、見慣れた剣と盾の看板を発見した。

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