第40話 女神が増えた


俺が炎龍ことカーラに名付けをした瞬間、魔力を大量に吸われ、カーラが光だした。


「なんだ?一体どうなってるんだ?」


俺が狼狽えていると、カーラを包む光が収まっていき、シルエットが見えていく。


の、だが……


「はっ?何かシルエットが違くね?どう見ても小さくなってるんだけど……すげ〜嫌な予感がする」


俺は内心そう思いながら光っている場所を見ていると見事に予感は的中した。


なんと、炎龍のいた場所から紅の長髪を腰の辺りまで伸ばした、見た目10歳くらいの女の子が現れたのだ。


「あーあ、やっぱりかーい!!もうね、うん、分かってた、分かってたんだけどさぁ〜……勘弁してくれよなぁもー!!」


俺は両手で頭を抱えながらその場に膝をつくと、突然女神からメールがきた。

俺はメール欄から新規メールを開く。


【ヤッホー!みんな大好き女神ちゃんだよ!と言っても、私はフリージアとは違う女神だけどねぇ〜!!全くあのフリージアおばさんは自分だけ美味しい物を独り占めして本当にずるいよねぇー!!って、そんな事よりも、そうだそうだ、実はケイちゃんの前にいる女の子はなんと!さっきまで炎龍だった子が進化した姿でーす!!パチパチパチパチ!!】


「………はっ?」


俺は情報の多さに処理が出来ず思わず呆然としていたが、すぐに正気に戻りメールの続きを読む。


【その子、えーと、カーラちゃんは元々“炎龍王”の娘なんだけど、ケイちゃんにやられて従魔になり、さらには名前を付けたことでなんと炎龍から進化して獄炎龍って言う種族になりましたー!!いや〜、本当に凄い事ですよこれは〜!シャングラの歴史の中で『五大龍』が人界で誕生した事なんて一度も無いからね!!だから大切にしてあげてねぇ〜!それじゃあ、ビティーはこの辺でって、そうだった、ビティーの自己紹介をまだしてなかったね!ビティーはフリージアと同じ女神で、『生命の女神ビクティー』だよ!これからよろしくねぇ〜!!】


メールを読み終えた俺は一度ため息をついた後大声で


「ふざけんな女神!!!全然説明できてねーよ!!なんだよ五大龍とか獄炎竜って!物騒過ぎるだろ!!しかも女神って一人じゃ無いのかよ?!!説明責任を要求するぞこの駄女神がー!!!」


俺は声の続く限り叫んだ。

周囲には俺の虚しい声だけがこだましていき、叫び疲れた俺は目の前で寝ているカーラの事を試しに鑑定してみる。



名前  カーラ

年齢   50

種族  獄炎龍

レベル  1


ステータス

攻撃 4000

防御 3500

魔力 3800

魔防 3200

速さ 4100


スキル

火炎砲  飛行  鉄爪  獄炎 龍力 

変身 魔法抵抗 火魔法 など


状態

忠誠


説明

相田圭太の従魔

人型、龍型の両方に変身する事が出来る。




鑑定結果を見た俺は思わず


「つっよ!!レベル1でこれはもはやバグでしょ!しかも人型から龍にも変身出来るって最高すぎじゃない?」


俺がそう思っているとカーラが起きた。


『ふわぁ〜あ!おはようございますなのです主人様』


カーラは欠伸をしながら背を伸ばしてから俺へ挨拶をして来た。


(見た目がもう、完全に人と同じだねこれは。しかも普通に喋っているし、コミュニケーションは出来そうで良かったわぁ〜)


俺がそんな事を考えているとカーラが俺の目を見てから


『申し訳ありません主人様。カーラはお腹が空いて来ました〜』


と言って両手でお腹をさすっているカーラに俺は一度ため息をした後


「はぁ〜。全くしょうがない奴だなぁ。何か作ってやるから、そこに座って待ってろ」


『ありがとうございます。ご主人様!』



俺は魔法で椅子とテーブルを作ると、カーラをそこに座らせて作りおきしていたローストビーフサンドイッチを出そうとした瞬間、俺は気づいてしまった。


(はっ!このローストビーフって、カーラの肉で作ったやつだ!!どうする?これ食べたらもう、共食いとかのレベルじゃなくなっちまうよなぁ?自分の肉な訳だし……)


俺が躊躇っていると、カーラがサンドイッチを見ながら俺に


『ご主人様。それから凄く美味しそうな匂いがします!カーラはそれが食べいです!』


と、まるで「待て」をしている犬のような表情をしながら俺を見てくる。


「いやいや、美味しそうな匂いってお前……」


俺が呆れているとカーラが


『でも、よく嗅ぐとそれからカーラの匂いがします?!ご主人様、どうしてですか?』


「ギクッ!なんて勘のいい子供……いや、龍だったか。はぁー、もうここまで来たら、この肉はお前の肉だ!とカーラに伝えるしかないよなぁ〜」


俺は誤魔化すの諦めて真実をカーラに伝える事にした。


「なぁカーラ、実はこの肉はな……」


『はい、なんですか?ご主人様?』


「……この肉は、お前の肉なんだよ!」


俺が真実を告げるとカーラは


『あっそうなんですか。だからそんなに美味しそうな匂いがしているんですね!それなら尚更早く食べたいです!!』


「えっ?!」


カーラの返答に拍子抜けした俺は、思わず変な声が出てしまった。


「良いのか?俺はお前の肉を食べた上、お前にも食べさせようとしたんだぞ?」


俺が聞くと、カーラは笑いながら


『問題無いですよ!龍同士での共食いがない訳ではありませんし、何より、弱肉強食がこの世の摂理ですからね!カーラも良く、食べてましたから、むしろ大好きです!!』


と、物騒な事を平然と述べるカーラに俺は思った。


怖過ぎるだろ異世界!!!!


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