第24話 屋敷の中
玄関から現れた金髪碧眼のイケメン君は、俺たちに対して一礼をすると挨拶をして来た。
「皆さま、ようこそいらっしゃいました。私はバスタード家長子のトーマス・バスタードと申します。冒険者ギルドギルドマスターのマオ・カーマ様にメリッサ様、そしてケイタ様でいらっしゃいますね。どうぞ屋敷の方へお入り下さいませ!」
トーストと名乗ったイケメン君はそう言って両扉を開く。するとギルマスが普段通りの口調で
「あら!ありがとうねトーストちゃん!それじゃあお邪魔するわね!ほら二人とも入るわよ!」
そう言って俺とメリッサさんに向かって、ギルマスは手招きしてきた。
「あっ!ハイ!!」
俺は緊張しながら扉を通って屋敷の中へと入ると、内装を見渡して俺は思わず絶句した。
屋敷の中は思っていた通り、高級そうなカーペットや壁紙、調度品や芸術品などが所狭しと並んでいるのだが、決して誇張する事が無く、丁度いい感じの雰囲気を醸し出し、良い意味で貴族の屋敷だと思った。
俺が屋敷の中を何度も見渡しているとギルマスが声をかけて来た。
「どうケイタちゃん?ここがこの街の領主の屋敷よ!」
「すごいですね!置いてある美術品なんかもそうですが、何より屋敷の雰囲気が良いですね!」
俺はそう言いながら昔の事を思い出す。
(修行時代に勤めていた日帝ホテルのロビーを思い出すな。あそこの外観と内装は日本一で有名だったし、何より雰囲気が良かった。
なんて言うか、ギスギスした雰囲気でも無ければ緩い雰囲気でも無くて、適度に緊張感のあってそれが逆に心地良いんだよなぁ〜。この屋敷はどこか日帝ホテルに似てるから、なんだか懐かしい気になるよ)
俺が修行時代の事を思い出しながらそんな事を考えているとギルマスが俺の肩を叩きながら
「さっすがケイタちゃんね!貴方ならそう言うと思ってたわ!実はノールちゃんとは古い仲でね、ノールちゃんが領主になる時に色々と相談されたのよ!ついでにノールちゃんに黙って屋敷の内装を私好みに変えてみたのよねぇ〜」
「そ、そうなんですか」
ウキウキと喋るギルマスに対して俺は適当に相槌を打つが心の中では
(いやいやいや、黙って変えるって不味いでしょ!!流石ギルマスと言うべきなのか……でもまぁ、ギルマスもこんな成りして何気に『拳聖』だし、かなり偉いんだろうな〜)
俺が内心そう思っていると先頭を歩いているトーマスが話しかけて来た。
「カーマ様、申し訳ございませんがなにぶん父も予定が立て込んでおりますのでお早く」
「あら?!ごめんなさいねトーマスちゃん!それじゃあ行きましょうかケイタちゃん。早くしないとノールちゃんの機嫌が悪くなっちゃうわ」
そう言ってギルマスは早足でトーマスの後をついて行ったので、俺も後を追う。
しばらくして、屋敷の一番奥の部屋の前に到着するとトーマスがドアを叩く。
コンコン!!
「入れ」
部屋の中から低めの声で返事が聞こえてくると、トーマスはドアを開けながら
「失礼します。冒険者ギルドギルドマスターのマオ・カーマ様、並びにメリッサ様とケイタ様をお連れ致しました」
「ご苦労、入って貰え」
「では、どうぞ中へお入り下さい」
トーマスがドアを全開しながらそう言うとまずギルマスが部屋に入り、次のメリッサさんの後に俺は部屋の中へと入る。
部屋に入ると、そこはまるで書斎の様で壁一面に本が並んでいた。
この世界では紙の流通が無い訳では無いがそれでも貴重な為、紙を大量に使う本をほとんど見た事が無かったが、やっぱりある所にはあるんだと思った。
俺が部屋を見ていると、椅子に座りゲンドウポーズを取っている金髪碧眼のイケオジがいた。その眼力はまるで鷹の目の様に鋭く、雰囲気は一騎当千の戦士の様で、どこぞの大総統を思い出す程だ。
てか、この世界の人って、ゲンドウポーズが好きなのか?あのポーズって長くやってると膝が痛くなるんだよね。
そんな事を考えていると大総統が喋り出した。
「ようこそ来てくれたマオにメリッサ殿、それと君が話にあったケイ…タ君だね?明日の祭り関係の仕事であまり時間を掛けられないから早速本題に行こうか。適当に座ってくれ!」
大総統に促されギルマスとメリッサさんと俺は、高そうなソファーへと座る。
すると反対側に大総統が座りその後ろにはトーマスが立っている。
座っている全員に紅茶が配られると大総統とギルマスが話し出したので、俺はこっそりと目の前の二人に「鑑定」のスキルを使う。
名前 ノールド・バスタード
種族 人間
年齢 40
レベル 54
職業 魔剣士
役職 伯爵家当主 領主
(テッサリア)
ステータス
攻撃 6500
防御 5600
魔力 6500
魔防 5050
速さ 5200
スキル
初級魔法 火、水、風、土、
剣術 魔法剣 斬鉄 など
称号
伯爵家当主 元王国騎士団師団長
Aランク冒険者 など
名前 トーマス・バスタード
種族 人間
年齢 20
レベル 26
職業 剣士
役職 伯爵家次期当主
警備隊隊長(テッサリア)
ステータス
攻撃 4060
防御 3500
魔力 3600
魔防 3200
速さ 4000
スキル
剣術 武術 双剣術 など
称号
伯爵家次期当主
鑑定結果を見て俺は
(うん!やばいね!領主の人めっちゃ強いじゃん!それに元だけど、騎士団師団長って相当凄いよね?あとなんかA級冒険者らしいけど、もしかしてギルマスの言ってた古い仲ってまさか冒険者時代に関係してたりして……まさかねぇ……)
俺がそう考えているといきなりバスタード伯爵が話しかけて来た。
「ケイタ君に聞きたいんだけど、昨日、ケイタ君が目撃した人物は本当にビレフだったのかな?もしかして他人の空似という可能性もあると思うんだけど」
疑った目で俺を睨んでくるバスタード伯爵に対して俺は
「それは間違いありません!」
と断言した。すると今度は
「なんで君はそう言い切れるのかな?聞くところによると、君はこの街に来てまだ数日しか経っていない筈なのにどうしてなのか根拠を聞きたいんだが、どうかな?」
俺は返答する事ができずに口を閉じてしまった。根拠を話すと言う事は俺の「鑑定」スキルの事を話すと言う事になるためだ。
俺が返答に困り、黙っていると何故か突然横に座っているメリッサさんが話し出した。
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