第23話 なんか違う
翌朝
朝起きた俺は日課のステータスチェックをした後、朝食の準備をする為宿屋の庭へと向かう。
今日の朝食は昨日のうちに仕込んでおいた、なんちゃってフレンチトーストだ!!
残念ながらパンは黒パンだし、卵は高級品らしく市場では売って無いので、ミルクと砂糖とハチミツを合わせて作った混合液につけて置いたので、色は白黒だが匂いはフレンチトーストに近いので俺的にはセーフ!!
俺は庭に出ると土魔法で簡易的なキッチンを作り、「調理器具召喚」を使ってフライパンと鍋を召喚した後、火魔法を使って火をつけてフライパンを熱する。
うん、魔法って便利!!
フライパンから煙が出たら作っておいたバターを溶かしてフレンチトーストもどきを焼いていく。
「うーん!良い匂いだ!!卵がないから色は白黒だけどハチミツのお陰でそれっぽい色になってるし、甘い匂いが堪らない!!」
俺は火を弱火にしたらリキュールのような酒を少し入れて蓋をして蒸していく。
数分後
蓋をとった後、フライ返しで片面をひっくり返してさらに蓋をして数分焼いていく。
「おっと!付け合わせの果物とスープを用意しないと!危ない、危ない、危うく忘れる所だった!」
俺は急いで「アイテムボックス」からコーンスープといくつかの果物を取り出して調理する。と言っても、スープは温めるだけだし、果物は切るだけなので簡単だ。
付け合わせとスープが完成したと同時に、フレンチトーストもどきも良い感じに焼き上がったので俺は皿に乗せると近くにあるテーブルと椅子に座り食事を始める。
「久しぶりにフレンチトーストを作ったから心配だったけど見た目は上手く出来たな!肝心の味はどうかなぁ〜?」
俺はナイフを使ってフレンチトーストもどきを切る。
「おおー!!柔らかい!それに、ちゃんと俺好みの中心に液体が染み込んで無いから最高だね!!」
昨今では、中まで染み込ませた物がポピュラーなのだが、俺はどちらかと言うと中心は残しておきたいタイプだ!
「それじゃあ、いただきます!」
俺はフレンチトーストもどきを一口食べる。
「う、美味い!外はさっくりとしていて中はしっとり、でも中心はそのままだから食べていて楽しい!まさに食感のハーモニーや!それに、蒸し焼きの時に入れたリキュールの香りが食欲をそそらせて、これまた良い感じだ!」
フレンチトーストもどきの美味さに、自然と食レポのような感想が出て来る。けれど二口目を食べようとした時に
「でもやっぱり卵が欲しいよなぁ。使ったのが黒パンだから余計なぁ〜」
俺はガッカリしてしまった。
味は申し分ないのだが、見た目が違う為これじゃないんだよなぁ〜と思ってしまった。
料理は味も大事だけど見た目も大事!!
「でもまぁ、聞いた話だと王都に行けば卵や白パンもあるらしいから今は我慢するしか無いか……」
俺はそう言いながら朝食を食べ終わると、自分の部屋へと戻り支度を始める。
ちなみに、女神にもフレンチトーストもどきを送ったのだが、いつものように返事が無いので俺は少し不安になったがとりあえず放っておく事にした。
何かあればメールを送ってくるだろうしね!
まず昨日買った服を着て、氷魔法で作ったか鏡を使い髭を剃り、髪を整えたらギルドへと向かう。
幸い、明日の勝負用の料理は決めてあるので今日はゆっくり出来る。
まぁ、これから領主に会いに行くのでゆっくり出来るかと言われると微妙だけどね!
ギルドに向かうとすでに扉の前にはギルマスとメリッサさんがいて、隣には馬車が停まっている。
「おはよう御座いますギルマス、メリッサさん」
俺が挨拶をするとまずギルマスが
「あらおはよう!ちゃんと時間通りに来てくれるなんて流石はケイタちゃんね!他の子たちだとそうは行かないわよ!」
「あはは、ありがとうございます」
(冒険者って時間にルーズなのか?)
俺がそう思っていると、今度はメリッサさんが
「おはよう御座いますケイタさん。今日はよろしくお願いします」
そう言って軽くお辞儀をしながら挨拶をして来たので、俺も軽くお辞儀をしながら挨拶をする。
「おはよう御座いますメリッサさん。こちらこそよろしくお願いします」
俺が挨拶をするとメリッサさんが近づいて来て小声で
「どころで、実は個人的にお話があるのですが今晩お時間はおありですか?」
と、俺に聞いて来た。
それもどこか艶っぽい声でだ!
もし俺が何も知らずに誘われていたら、何も考えずに「ハイ!」といってしまう所であったが、俺はこの人の正体を知っているので騙されることはない。ないのだが、ここで断ると逆に怪しまれてしまうのでここはあえて
「分かりました。では今日の夜に俺の宿でどうですか?」
と、あからさまに「私は貴女に下心がありますよ」と分かる様に答える。
するとメリッサさんは
「ええ、では今晩ケイタさんの宿に行きますね」
と笑みを浮かべながら言ってきた。
「あ、はい…」
(マジか?もうメリッサさんが何考えんのか分かんねぇー!)
俺が困っているとギルマスが馬車に乗りながら
「ちょっと二人とも!ほら行くわよ!」
と言って来た。
ナイスタイミング!!
「はーい!」
「分かりました」
俺とメリッサさんが馬車へと乗り込むと、御者が馬車を走らせた。
*******
しばらくして馬車は貴族街を通り、街の中心部にある大きな屋敷に到着した。
その屋敷は周りを高い塀で囲まれ、門には装飾までされていて漫画やアニメに出て来そうな雰囲気を醸し出している。
守衛に対してギルマスが何かを話した後、門が開き馬車は敷地内へと入っていくと美しい庭園と屋敷が見えた。
「……すげ〜」
俺は思わず感嘆した。
領主の屋敷は、まさに漫画やアニメのような作りで、完全な
屋敷の玄関の前に馬車が停まると、最初にギルマスが降りて、次にメリッサさんが降りる。だが、俺はこの時驚愕の瞬間を目撃した!なんとギルマスがその格好に似合わず、降りるメリッサさんの手を支えていたのだ!
まさに紳士!!
いや、ギルマスがやると変態紳士と言った方がしっくりくる。
メリッサさんが降りた後、俺は馬車から降りてギルマスの後ろに立っていると、屋敷の玄関の扉が開き、中から金髪碧眼の20歳程の高身長イケメンが現れた。
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