第22話 驚愕の事実
個室に入って来たギルマスは、俺の対面の席に座るとゲンドウポーズをとりながら
「さっきの話だけど、私はケイタちゃんの事を信じるわよ!」
と言ってきた。
それ聞いて俺は思わず
「ほ、本当ですか?!」
「ええ、実は私とノールちゃんは以前からマーラ商会とビレフが裏で繋がっていると言う情報を得ていたんだけど、残念ながらビレフのやつ、なかなか尻尾を掴ませなくって困ったのよ!でも、そんな時に貴方が面白い事を話してるじゃないの!」
ギルマスはそう言いながら俺の事を熱い視線で見てくる。
「なるほど、それで俺の事を信じるって言ったんですね!」
「まぁね!ああそれと、実は貴方にお願いがあるのよ!」
「なんですか?俺みたいな新人にできる事なんて大して無いと思いますけど?……もしかして俺をギルマス達の仲間にでも誘うつもりですか?もしそうなら、流石に俺では役不足だと思いますよ」
「うふふ、謙遜しなくても良いわよ!貴方は私が見込んだ男なのよ、この『両性の鉄人』マオ・カーマが見込んだ男が大した事ない訳ないじゃ無いの!」
ギルマスはそう言って俺の事を撫で回すように見てくる。
(うわー!いや怖ーよ!!それにギルマス、なんか俺が実力を隠してるって気づいてるかも知れないよな?どうする、流石にバレると面倒い事になるの確定だけど、ここでギルマスと殺りあうとなると不味いよなぁ〜)
俺がそんな事を考えているとギルマスがさらに話し出す。
「まぁそれはさておき、お願いって言うのは明日領主であるノールド・バスタード伯爵に会って欲しいのよ。それでケイタちゃんの知る情報をノールちゃんにも話して欲しいの!」
「それなら俺ではなく、ギルマスの方からお伝えした方がいいのでは無いでしょうか?」
「普通ならそうかも知れないけど、ノールちゃんはバカみたいに堅物でねぇ、たとえ私が話したとしても絶対に納得しないし、信じないわ!だから貴方が直接会って、彼に話して欲しいのよ!……どうかしら?」
ギルマスはそう言って胸の辺りで両手を合わせる。
乙女か!!!
俺は少し考えてから一度深呼吸をして
「ふう、分かりましたギルマス。俺としてもこれ以上マーラ商会とビレフによって酷い目に遭う人を出したくはありませんし、ここはギルマスの顔を立てる事にします」
「ありがとうケイタちゃん!それじゃあ明日の10時にギルドの方へ来てちょうだい!」
そう言ってギルマスは立ち上がったので俺は
「分かりました。それと、俺の方からひとつお聞きしたいんですが?」
「あら?なにかしら」
「よく考えてみるとこの話ってかなり重要な話ですよね?」
俺の質問に対してギルマスは真剣な顔で
「……ええそうね」
と肯定する。
「それだとメリッサさんに聞かれると不味いんじゃ無いんですか?」
俺がそう言うとギルマスは笑いながら
「ふふふ、安心して頂戴!実はこの子も私達の仲間なのよ。だからこの子から情報が漏れる事は無いし、ケイタちゃんが思っているような事になる事は無いわよ!」
ぎくっ!
俺はギルマスの言葉に思わず動揺してしまった。俺がメリッサさんに嘘を交えて話していた事をどうやらギルマスは気づいているようだ。でも、その事を深く追求してこないのは恐らく俺が、重要な情報を持っていると知っている、もしくは気づいているからだろう。
なので俺はメリッサさんの事について少し踏み込んでみた。
「ですが本当に大丈夫なんですか?たしかにメリッサさんは信頼は出来る人ですが、信用出来るかと言われるとちょっと……」
俺が少し申し訳ない感じで話すとギルマスは
「それに関しては私を信用してもらうしかないわね!それに彼女は……」
「ギルマス!!」
ギルマスがメリッサさんの事に関して何かを話そうとした瞬間、メリッサさんはギルマスを睨みながら大声を上げる。
「ギルマス、その話は誰にもしない約束では無かったですか?いくらギルマスでも許しませんよ」
「もーう、分かってるわよ!冗談よ、冗談!そんなに睨まないでよ、ちょっとふざけただけじゃないの!」
不機嫌そう?いや、怒っていのかメリッサさんはギルマスの事を睨みながら話す。
対するギルマスはと言うと、両手を前に突き出しながらメリッサさんに向かって手を広げて何度も上下に振っている。
俺はそんな二人のやりとりを見ながら二人にこっそりと鑑定をかけた。
名前 マオ・カーマ
種族 人間
年齢 43
レベル 85
職業 拳聖
役職 冒険者ギルドマスター
(テッサリア支部)
ステータス
攻撃 9500
防御 12000
魔力 3000
魔防 5600
速さ 5000
スキル
鉄拳 気配感知 縮地 闘神法
魔神法 鉄塊 など
称号
Sランク冒険者 冒険者ギルドマスター
両性の鉄人 拳聖 カーマ流武術継承者
無敵鉄人 龍殺し 魔族殺し など
名前 メリッサ・フォン・ヴェルダン
種族 ハーフエルフ
年齢 125
レベル 80
職業 精霊魔法師
役職 冒険者ギルド受付嬢 契約者
ステータス
攻撃 4500
防御 5090
魔力 16000
魔防 13000
速さ 7600
スキル
初級魔法 中級魔法 上級魔法 精霊魔法 精霊召喚 精霊同化 大精霊召喚
魔力付与 魔力自然回復 など
称号
ヴェルダン帝国第3皇女 精霊契約者
大精霊使い など
(は????!!!!マジか・・・)
俺は後悔した。軽い気持ちでギルマスとメリッサさんを鑑定した結果、とんでもない事を知ってしまった事に対してだ。
(嘘だろ?ギルマスはまだいい!少なくても冒険者ギルドのギルドマスターになるくらいなんだからこのくらいのステータスがあっても別に変じゃ無い!けど、問題はメリッサさんだよ!年齢に関してはエルフが長命ってのはラノベの定番設定だからまだ分かるんだけど、
称号の精霊魔法って何?この世界って精霊居るの?女神のやつ全くそんな事言って無かったけど、どうゆう事だよ!今度とっちめてやる!!)
俺は女神の顔を思い浮かべながら拳を握ったのだが、考えても見れば一年で帰れると言う事で俺はこの世界の事を詳しく聞かずに転移したので自業自得であった。
ごめん女神!!さっきのはやっぱ無しで!
俺は心の中で女神に向かって謝罪をした。
(それにしても、まさかメリッサさんがヴェルダン帝国第3皇女とか流石に予想外過ぎてビビるわ!!そりゃ、あんな変人達のギルドにいるんだから何かしらあるとは思っていたけど、予想を二つくらいのぶち抜いて来たよ!うん、この件に関しては見なかった事にしよう……)
俺が内心呆れながらそんな事を考えていると、ふと疑問が浮かんできた。
(あれ?そう言えばこの国って名前なんて言うんだ?)
そう、俺はこの街がテッサリアだとは知っているが、この国の名前どころかこの世界に幾つの国があるのかすら知らない。
するといきなり聞き覚えのある機械音が流れて来た。
ピロロン!
俺はステータス画面をみると、何故か女神からメールが来ていた。普段、食事の時以外にはメールを送って来ない筈の女神からのメールに少々疑問を持ちながらも俺はメールを開く。
【お得な女神情報です!!
圭太さんが現在いるのは異世界シャングラの東にある『ソラリア王国』です。ソラリア王国は、圭太さんの故郷である日本とほとんど同じ気候な上、平和で住みやすいと思い転移させました!私って優しいですよねっ!!それから北に行くと実力主義の国『ヴェルダン帝国』があり、西にはこの世界で最も浸透しているディアノ教の総本山がある『聖ディアノ神国』、南には豊富な海洋資源によって栄えている『海洋国家シーリア』があります。この4つの国を4大国と呼び、そのほかに幾つかの小国が点在しているのが異世界シャングラになります】
(なる程ねぇ〜)
「それじゃあケイタちゃん!明日の10時にギルドの方に来てね!」
俺がメールを見終わると同時にギルマスが話しかけて来たので俺は慌てて返事をする。
「はっ、はい!分かりました。明日の10時ですね、それでは失礼します!」
俺はそう言って急いでギルドを後にする。
俺がなぜ急いでギルドを出たかと言うと、何故かメリッサさんが俺の事をもの凄く睨んできたからだ!
めっちゃ恐いし、なんか嫌な予感がした!!
途中で俺は、領主に会うと言う事でちゃんとした服を何着か購入してから宿に戻った。
コートと靴以外は普通のシャツとズボンだからだ!
やっぱり第一印象は大事!!
俺は宿に到着するとすぐにベットに入って眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます