第20話 暗躍する者達
圭太が魔法の確認をしているちょうどその頃、マーラ商会の応接室に3人の男達が話し合いをしていた。
「ふふふ、よくやっぞナイジェル!これで我々の勝利は確実だ!そうですよねビレフ殿?」
マーラ商会会長のノマーラは、そう言って向かい側の席に座っているビレフと呼ばれた文官風の格好をした30代位の男に話しかけると男は軽く笑みを浮かべながら
「ええ、ノマーラ殿のおっしゃる通りですよ。これで我々の勝利は確実、そしてこの街の支配もいよいよ大詰めと言った所でしょうかねぇ」
「あの!一つ気になっていたのですが、何故テッサリアの財務管理人であるビレフ殿が我々マーラ商会を贔屓してくれるのでしょうか?ビレフ殿がその気になれば幾らでも金銭を思うがままにできるのでは無いのですか?」
ナイジェルからの質問に対してビレフは
「くふふ、確かに財務管理人の私にかかればそれくらい出来るが、残念ながら現在の領主である
ビレフの発言を聞いたナイジェルはさらに質問をする。
「ではどうやって領主を消すのですか?確かバスタード家と言えば武勲を立てて陞爵したほど武勇に優れた家だった筈?」
「そんなの簡単さ!ノマーラ殿、例のものは手に入ったかな?」
ビレフの質問に対してノマーラは小瓶を取り出しながら
「ええ、もちろんですともビレフ殿!ご所望通りの品を取り寄せました。これを一滴でも飲めばたちまちあの世行きで御座います!」
「流石はノマーラ殿だな!こんなにも短期間で“ポイズンフラワー”の毒を用意するとは恐れ入ったぞ!」
「恐悦至極で御座います。あとは当日、これを入れた料理を食べさせれば良いだけですね」
「ああ、その通りだともノマーラ殿!そして私が
「我々、マーラ商会も今以上に利益を得る事が出来るようになりますな!」
「「ハッハッハッ!!」」
ビレフとノマーラが笑っているとナイジェルが
「しかしビレフ殿、そんな簡単に事が進むとは思えませんが、何か秘策があるのですか?」
「くふふ、勿論だともナイジェル君!まぁ楽しみにしていてくれたまえ!きっと君も驚愕するだろうからね!」
「はぁ……?」
「さて、では私はこれで失礼するよ。なにぶんまだ公務の途中なのでね。それに、決行前に余計なリスクは背負いたく無いしね」
「畏まりました。では祭りの日を楽しみにしております」
「ああ、それじゃあなノマーラ殿!」
「ええ、ビレフ殿の方も。おいナイジェル!ビレフ殿を送って差し上げろ!」
「はい父上、ではこちらへどうぞビレフ殿」
「うむ!」
ビレフはナイジェルに促されるまま、玄関の方へと歩いていった。
*******
圭太side
ビレフがマーラ商会からちょうどで出てきた時、偶然にも圭太はマーラ商会の近くを歩いていた。
いや、正確に言うと・・・
「あれ?ここどこだ?確か宿屋の方に向かって・・・やばい!完全に迷子になったぞ!」
テッサリアの街は、防衛の為に複雑な街並みでめちゃくちゃ迷いやすいのだ。
その為、街をブロックごとに分けて分かりやすいように地図も街の至る所に置いてあるだが、残念ながら圭太はその事を知らない。
なので、迷子になってしまっているのだ!
困った圭太は『天の目』を発動して宿屋を探そうとした瞬間、スキル『気配感知』が発動した。『気配感知』は特訓の末、自分に対して敵意がある者や魔物に反応するように出来たので、こんな街の中心で反応した事に驚いたと同時に、急いで反応した場所へと向かった。
天空のシューズを使い、空を飛びながら目的の場所へ到着した俺は『気配感知』を使いながら周囲を見渡すと一台の馬車が停まっていた。俺はその馬車の方に『気配感知』のスキルを使う。すると、馬車に乗ろうとしている貴族のような男から魔物の反応があった!
俺は素早く『鑑定』のスキルを使うと驚愕した。
名前 ビレフ・ゴーン
種族 人間
レベル 15
職業 役人
役職 テッサリア財務管理人
ステータス
攻撃 150
防御 70
魔力 100
魔防 60
速さ 40
称号
伯爵家傍流 魔族の眷属
汚職人 謀略家
状態
魅了(魔族による魅了状態。どんな命令にも従ってしまう)
なんと、その男は魔族の手下だったのだ!
それも職業を見るに、明らかにお偉いさんだとすぐに分かる。
(これって、ヤバくね?)
そう考えた俺は、急いで奴の乗った馬車の後を追う事にした。
尾行がバレないように天空のシューズを使い空から後を追いながら、コートの偽装機能を使って風景に同化しながら後を追って行く。
不本意だけど女神から貰ったこの靴とコートは本当に便利だ!
しばらくすると馬車は貴族街の外れにある大きな屋敷へと入っていったので、俺は門とは反対側から屋敷の中へと潜入する事にした。
(日本だったら住居不法侵入で即捕まるな)
俺はそんな事を考えながら屋敷の中へと侵入すると、忍者のように天井裏を通ってターゲットのいる部屋へと向かいます。
幸い、俺の『気配感知』のスキルのお陰でターゲットの居場所はすぐに分かったので特に迷うこともなく目的の部屋へと到着した。
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