第二章 異世界と冒険

第10話 街へ行こう!

邪魔なオークどもを駆逐した翌日、俺は1週間過ごした住居を片付け、いよいよ街へと旅立とうとしていた。


「ふう、それじゃあ異世界初の街へと行きますか!出来れば、米があると良いんだけどなぁ〜」


俺は街へと続いている街道のある方向へと歩いていく。

別に空を飛んでも良いのだが、もしかしたら地面や木にまだ見たことのない食材が生えているかも知れないので、こうして歩きながら散策をしていく。


*******


しばらくして、ようやく街道に出る事ができた俺は街に向かって歩いていると、突然『気配感知』のスキルが反応した。


「お!?なんか反応したな!とりあえず『天の目』で見てみるか?」


俺はスキル『天の目』を使うと、前方およそ20メートル程先でオークが数匹、馬車を襲っている光景を発見したのでよく見ると、騎士風の男女たち3人がオークと戦っていた。

俺はその光景を見て


「あーあ、あれじゃあすぐに死んじゃうかも知れないな。どーするかなぁー、こうゆう時ラノベとかだと助けるのが、定番だけど正直面倒なんだよなぁ・・・」


俺はそう言いながらも、馬車へと向かって行く。


どうやら俺は、自分で思っていたよりは人でなしでは無かったようだ。


俺が馬車に近づくとオークと戦っている騎士達の声が聞こえて来る。


ブヒヒヒン!!


ガキン!


「くそ!このままじゃ全滅だ!せめてお嬢様だけでも・・」


と、一番強そうな男が叫ぶ。すると今度は女性の騎士が


「私が突破口を開きますので、グリーンベル様はお嬢様を連れて街までお逃げ下さい!」


「何を言ってるんだラーナ。ここは俺が引きつける!」


「そんな貴方様が死んでしまっては、我が主に申し訳が立ちません!」


と、まるでどこかの漫画の様なやりとりをしている騎士を無視して、俺はオークどもに向かってペティナイフを飛ばす。


「いけ!」


ブヒ!!


飛んでいったナイフは真っ直ぐオークどもの頭に突き刺さり息の根を止める。


「「は??」」


唖然とする騎士たちを尻目に俺はオークどもに『解体』と『収納』のスキルを使った後、即座に街の方へと向かう。


途中で騎士の一人から「あの!」と言われたが、俺はそれをガン無視して走る。


○○○○○○○○○


街の正門のすぐそばまできた俺は軽く辺りを見回す。

街を囲む壁はレンガ作りのようで時代を感じさせる作りだ。

それに、壁の高さも軽く20メートル近くあるので飛んで中に入るのは危険だと判断した俺は、大人しく正門の方へと向かった。


門の所では検問があるようなので、俺はコートの力を使い髪の色と背格好を少し変えてから正門へと向かう。

正門には数人の門番がいたので、俺は一人の門番に話しかける。


「すみません、街に入りたいのですが?」


すると門番は


「それじゃあ、身分証を出してくれ」


と、言ってきたので身分証を持っていない俺は慌てて


「あ、あのう、身分証が無い場合はどうすれば・・・」


「ん?それなら通行料で銀貨1枚を払いな!後、この石板に手を置いてくれ!犯罪の有無を調べるから!」


「はい、分かりました」


俺は銀貨を支払い、門番が指を刺した石板に手を置くと、石板が青く光った。


「青く光ったな。犯罪歴は無しっと!よし、通っていいぞ!ああそれと、身分証は冒険者カードでも代用出来るから登録する事をお勧めするが、!」


と門番の人は顔を近づけながら言ってくるので、俺は何度か首を縦に振りながら


「はい!ありがとうございます。気をつけますね」


「そうか、それなら良い。ようこそテッサリアの街へ!何かあったら俺を頼ってくれ!俺の名前はガルーだ!」


「ありがとうございますガルーさん。もし困った時はお願いしますね」


と言って、街の中に入っていく。


街に入った俺はまず、冒険者ギルドを探す為に街の住人に話を聞くと、みんな怯えたような態度をとりながら場所を教えてくれた。


「それにしても、なんでギルドの場所を聞いただけなのにあんなに怯えていたんだ?」


俺は不思議がりながらギルドを探すと、ようやくギルドを見つける事ができた。


「お!看板に剣と盾の紋章があるからここが冒険者ギルドか!なんだか緊張するなぁ」


俺は緊張の中、ギルドの扉に手をかけて開ける。


のちに俺は後悔する事になる。何故ガルーさんが、あれだけギルドに関して気をつけろと言っていたのかをもっと考えるべきだったと。







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