第6話 チートスキルとゴブリンの巣
翌朝
窓から差し込む陽の光で目覚めた俺は、立ち上がって背伸びをしてから外に出る。
相変わらず見渡す限りの木、木、木を見て、改めて自分が異世界に転移させられたのと自覚させられる。
「はぁ、夢じゃなかったのか」
俺は軽くため息をしながら愚痴をこぼしていると、お腹が空いて来たので朝飯を作る事にした。
俺はキッチンに向かい、昨日の残りのシチューを温めてから皿に盛りテーブルに運ぶ。
今日の朝食は、シチューとサラダにリンゴのようなきのみ、リップルのジュースを用意した。
「いただきます」
********
朝食を食べ終えた俺は、新しい食材の発見とスキルの確認の為、周囲を探索する事にした。
「よし、まずは包丁を出してみるか。えーと、包丁よ来い!」
俺がそう言うと、昨日と同じ牛刀が現れる。
「おお!改めて見ると凄いな!もしかして他の包丁も出て来たりするんじゃね?」
それから俺はひたすら包丁を召喚し続けた。
初めは牛刀、次にペティナイフ、それから出刃包丁に中華包丁、インドのくくりナイフやイタリアのメッザルーナまであらゆる包丁が際限なく出て来た。
そんな中、俺はある疑問ができた。
「これってもしかして、飛ばせたりするんじゃね?」
そう、某金ピカ英雄王のように包丁を相手に飛ばす事が出来るかも知れないと思ったのだ。
「まぁ、考えていてもしょうがないし、やってみるか。本当は包丁を飛ばしたくは無いけど、やっぱり接近戦は慣れないと無理だし、何よりも怖い!」
俺は試しに目の前の木にペティナイフを飛ばす。するとペティナイフは時速50キロ程の速度で真っ直ぐ木に向かって飛び、なんと木を貫通して後ろの木に突き刺さった。
「ヤッベ!これは危険だな!使う時はなるべく後ろに気をつけよう」
それから俺は他のスキルも試しまくった。
調理器具召喚では、まな板や鍋だけじゃ無く、コンベクションオーブン、真空パック器や遠心分離機と言った最先端器具まで出す事が出来た。
電気無いけど何で動いてんだ?魔力とか?
さらに、食器召喚も皿だけで無くて急須やコーヒーカップやティーカップに土鍋や石鍋まであらゆる物が出てくる。
そして、一番驚いたのは【管理人】のスキルだ!このスキルのお陰で、低温熟成はもちろん瞬間冷却やアイスシャーベットなんかも作れるようだった。
いやいや、便利過ぎでしょこのスキル!!
一通りのスキルの確認のが終わり、俺は食材採取の為森に入る。
昨日も思ったけど、森には本当に色々な食材がある。中でも野菜や果物なんかは豊富だ!
リンゴのようなリップルの実に、ジャガイモのようなポーテトに人参に似たキャーロットやハーブなどもあり、ベジタリアンならば泣いて喜ぶだろうが、俺はベジタリアンでは無いので動物かモンスターを探す。
しばらく歩いていると、俺の気配感知に反応があった。
どうやらいつのまにか、俺の周りを数匹のモンスターが囲んでいるようだ。
俺はすかさずペティナイフを召喚し、目の前に隠れている一体に向かって飛ばすと、まるで断末魔の叫び声を上げる。すると、俺を囲んでいた他の奴らが一斉に飛びかかって来た。見た目は子供くらいの背丈で緑色をしたモンスターで、一丁前に武器を持っている。
「こいつはもしかして、ファンタジー定番のゴブリンじゃねぇ?」
取り敢えず俺は、一番強そうな一体に鑑定をかける。
種族 ゴブリン
レベル 2
ステータス
攻撃 10
防御 5
魔力 0
魔防 3
速さ 5
スキル
棒術 投擲
(よっわ!昨日のウルフよりも弱いのかよ!でもまぁ、数の力は偉大って言うし、取り敢えず全力で行こう)
「来い牛刀!!」
俺は牛刀を召喚し、ゴブリンどもに向かって軽く振ると一瞬でゴブリンたちの首が切れた。
ゴフ!!
地面に落ちたゴブリンたちの首を見て俺は
「本当、チートスキルだよなこれ!」
と言って、手に持っている牛刀を見ると刃こぼれどころか、血糊すら付いていない。
「そう言えば、ゴブリンってたしか何匹もいて、群れで巣を作るって某スレイヤーさんも言ってたし、探してみるか」
俺は『天の目』を使って巣を探すと、約15メートル程北に向かった所に洞窟があり、そこにゴブリンがいるのを見つけた。
「よし、ゴブリン退治と行くとしますか!あれ?ゴブリンって食えるのか?」
俺は足元に転がっているゴブリンに、再度鑑定をかける。
種族 ゴブリン
レベル 2
スキル
棒術 投擲
説明
気性が荒く、性欲が強いが力は大した事はない。肉は硬くて食えない。
オスしかいないので他種族のメスを襲って繁殖する。
説明を見て俺は失望した。
「なん、だと!ゴブリンって食えないのか?
どーするかなあーゴブリン退治。食えないのに、わざわざ巣を潰すしつようが無いしなぁ」
ゴブリンが食えない事がわかり、魅力を感じなくなった俺はどうするかをしばらく考えた。
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