第5話 初の異世界料理
ウルフを料理するにあたり、俺はまず簡易住居の調理場へと向かう。
「よし、始めるとするか!」
俺はまずウルフを解体する。
こうゆう時は【捌く者】のスキルを使うと簡単に肉を部位ごとに分けたり、内臓や皮、素材や魔石などに分ける事ができる。
俺は肉以外の物をアイテムボックスに仕舞い、事前に採取していた野菜とハーブを取り出す。
「まずは、肉を【管理人】のスキルで熟成させてから四角く切って、『調味料精製』で塩と胡椒、それとナツメグなどの香辛料を用意したら、それらを軽くまぶしてから少し置いておく。その間に、野菜をカットして塩を入れたお湯でボイルする。終わったら、肉をフライパンで焼いてから野菜と一緒に鍋へ投入!これに、ハーブや香辛料なんかを入れて味を整えたらおよそ30分程煮込んでいく!」
みなさんはもうお分かりだろうが、記念すべき異世界料理第1号はウルフ肉のラグーだ!
ちなみに、ラグーとはフランス語で煮込みのことで、簡単に言えばシチューのような物だな!
本当ならトマトを入れたかったのだが、今回は無いので諦めた。
俺は煮込んでいる時間に、『食器召喚』のスキルで食器を出して、テーブルのセッティングをしていく。
30分後・・・煮込み時間が終わり、蓋を開けるとなんとも食欲をそそる良い匂いが充満していき、俺はすぐに二人分スープを皿に盛り付けて、事前に用意していたサラダと一緒にテーブルに乗せる。
だが、ここで困った事が起きた。
「えーと、女神に料理を送るのにはどうすれば良いんだ?」
俺が悩んでいると、またしてもピロロンと言う効果音が響き、女神からメールが来た。
俺はメールを読む。
【何をしているのですか!?こんな美味しそうな物を前にしてなんの拷問ですか?!
貴方が祈れば私の元へ届きますので早くお願いします!ハリーアップです!!】
女神、どんだけ食に飢えてんだよ!
何がハリーアップだよ!仮にも女神だろ?これじゃあ、威厳全く無いぞ!
俺は心の中でそう突っ込みながら、両手を握って目を閉じて祈る。
すると、目を閉じているのにも関わらず目の前が眩しくなり、目を開けるとそこにあったはずのスープとサラダが消えていた。
「うお!すげーな。本当に消えてるよ」
俺が感心していると空から女神の声が聞こえて来た。
「うんま!このスープ美味!こんなに美味いスープなんて初めて食べたわ!それにこのサラダにかかっているドレッシングも、酸味があって美味しい!!あー食べた食べた!ご馳走さまでした!!」
女神食べるの早ーな!まだ5分くらいしか経って無いはずなんだけど、俺の聞き間違いかな?
なんかご馳走さまって聞こえて来たんだけど?
結局、真相が分からない俺は考えるのをやめて、食事を始める。
「それじゃあいただきます」
俺はまずスープを一口飲む。
「美味い!!ウルフの出汁が良く出ていてしっかりとした濃くと、ハーブの香りがマッチしている。それに、この肉も柔らかくて臭みも無い最高の肉だ!うーん、豚や牛って言うよりも前に食べたキツネや熊に少し似ているような気がするが、独特の獣臭は無いから食べ易いな。それじゃあサラダの方はどうかな?」
俺はサラダを食べる。
「うん、これも美味い!野菜も全く青臭く無いし、食感もいい!それに特製のドレッシングとも相性がいいからいくらでもいけるな!」
それから俺は一人で黙々と食べ続け、ふと独り言を呟く。
「これ、異世界のモンスターの方が地球の食材よりも美味くね?てか、圧倒的にこっちの方が美味いような気がするんだけど!?」
考えて見ればわかることだ。この世界では未だに、料理の技術が発達していない上、地球のように、機械を使った調理や加工に鮮度を保つための保存手段などは全く無いのだから、食材の元々の味だけで勝負しているような物だと言う事だ!
「そりゃあ、女神だって美味い物食べたいよな」
と女神に同情していると、またしてもピロロンと効果音がながれ、メールが届く。
俺はメールを開き読む。
【ヤッホー!異世界最初の料理はどうだった?ちなみに私の感想はすごく美味しかったよ!という事で、パンパカパーン!!新しいスキルをプレゼントしちゃいまーす!なのでステータスの確認をしといてね。これからも、毎日美味しい料理を待ってますねー!】
「・・・マジか。新しいスキルとか、これ以上強くなる必要あるのか?」
俺はそう思いながら、ステータスを開く。すると
名前 相田圭太
種族 人間
レベル 2
職業 料理人
ステータス 測定不能
スキル
鑑定
全てのものを調べる事ができる。
【人、モンスター、植物など全て】
道具召喚
包丁召喚
ペティナイフから解体用ナイフまであらゆる包丁を召喚する。
(自動洗浄機能、破損再生、紛失補償)
調理器具召喚
思い描いたあらゆる調理器具を召喚できる。
(自動洗浄、破損再生、紛失保証)
食器召喚
あらゆる食器を召喚する。
(自動洗浄、破損再生、紛失保証)
解体人【捌く者】
全てのものを切る事が出来る。
【有機物、無機物、霊など】
どんな物でも最適な解体が出来る。
貯蔵庫 【アイテムボックス】
あらゆる物を貯蔵出来る。生き物も可
容量無限、時間停止機能 自動選別機能
収集 【コレクター】
認識した物を手元に引き寄せる。
一度見たものを探し出す事が出来る。
温度管理、熟成管理 【管理人】
食材の温度を自由に変える事が出来る。
低温調理が出来る。
熟成させる事が出来る。
調味料精製
あらゆる調味料を作ることができる
生活魔法
火や水などを出す事が出来る。
その他にも、汚れや匂いなどを消す事が出来る。
言語理解
全ての言葉と文字がわかる。
書くことも出来る。
女神からのギフト
女神の寵愛(歩合制)
天の目
自分を中心として、半径20メートルを見ることができる。
解呪、解毒
あらゆる毒、呪いを消す事が出来る。
回復、再生
あらゆる怪我を癒やし、欠損を治す。
状態異常無効
あらゆるバフ、デバフを無効
自動結界
オート機能付きの結界であらゆる攻撃を防ぐ
(ドラゴンのブレスなら3発は耐えられる)
一度割られると、回復まで1日かかる。
気配感知 NEW
自分の半径10メートル以内の生物の気配を感知し、さらに敵対意思などを察知する事ができるようになる。
(その他は、女神の気分しだい)
称号
女神の料理番 異世界の料理人 天才料理人
「わーお!これはまた中々のスキルだな。つまり俺には不意打ちは効かなくなるって事だろ?・・・・てか、レベルが上がってるんだけど?なんでだろう?・・・あっ!ウルフを倒したからか!なら良いや、疲れたから今日はもう寝よ」
納得した俺は、食器を消してから寝室へと向かい、簡易ベットに寝っ転がりながら明日の事を考える。
「明日はまぁ、この辺の探索とスキルにいつてもっと調べなきゃなぁ」
と言いながら俺は目を閉じて眠りについた。
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