第3話 月が綺麗ですね
??「初めまして、地球人」
そこには整った顔立ちと夜なのにも関わらず妙に白く光沢のある着物のような服を着た黒髪の女性が立っていた。
見た目は19歳くらいの若い普通の女の子だが、山内と伊藤は肌で感じていた。
コイツが地球のモノではないという事を。
伊藤(ヤバい!どういう状況だこれは、宇宙人だと!?信じざるを得ない。本能がそう言ってる。頭をフル回転させろ!なんて答えれば良い?落ち着け〜俺。こういう時は深呼吸だ。スゥゥッハァァ〜、よし、まずまとめようヤツは日本語を喋っているという事は日本を狙って?更にはここ東京を狙って?もしそんな事が出来るとするならそれは遥か高次元の文明のもので、ましてや音も無く、こんな山に火事にもさせずに着陸を成功させるなんて確実に今の地球の文明ではあり得ない。そんな文明を1人で築くとは考えづらい、2人乗りの宇宙船、ヤツは1人じゃない?何処から?本当に月から?目的は?)
などと伊藤が思考を張り巡らせていると何やら話し声が聞こえる。
山内「今日は月が綺麗ですね〜」
??「そうじゃろうてそうじゃろうて」
伊藤「あれぇ山内ぃ!?打ち解けてるぅ!??」
山内「コレうるさいぞ伊藤、こちら、ルナさんと言うらしい。地球は初めてじゃそうな」
伊藤「俺が考え事してる間に、そんなに?」
ルナ「うむ、色々聞いたぞ。山内太陽、東京大学に通う21歳、趣味は読書、好きな作家は夏目漱石、中学校の頃好きだった女の子に『ドッキドキ♡、君を見つけた、あの日から』と五七五でラブレターを書いて振られたそうじゃな」
伊藤「いやそんなにぃ!?」
(何ツッコンでんだ俺は!でも案外敵意は無いのかも?)
山内「さて自己紹介も済んだ事ですし、場所を移しませんか、どうです?我が家でも」
ルナ「そうじゃの、外で話すのもなんじゃし、ではちょっと待っとれ」
そういうとルナは宇宙船の方へ行き何やら操作をし始めた、するとピピッという機械的な音とともに宇宙船がみるみる背景と同化、いや完全に透明化している。
伊藤「ハハハ、いよいよ理解の範疇の外だな、山内、(返事がない)、山内?そーいえばさっきからやけに落ち着いてんな」
伊藤が山内の方を振り返ると山内は口をパクパクさせながら宇宙船のあった筈の場所を指差し、服をビチャビチャにするほど汗をかきながら今にも腰を抜かしそうなほど驚いていた。
山内「ほ、ほ、ほ、本物だぁ…」
伊藤「いや疑ってたのかよ!」
ルナ「ひゃっはっはっはっはっ!面白いなぁ地球人は」
伊藤はとりあえず敵意は無いだろうと判断した、というよりそう考えるより他にない、もし敵意があるならアレほどの高次元の物に乗ってきた宇宙人だ、敵意を向けられればひとたまりも無い。
伊藤(山内の言う通り一旦山内の家に行き、コイツを監視、更には少しでも多く情報を引き出すんだ。)
3人は山を降り、ルナと山内は2人乗りで、3人とも自転車に乗り、山内宅へ向かう。
伊藤は山を降っている時も常にルナを警戒し、ある程度の距離を保っていた。
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