第3話 異世界へようこそ!

 また、どこかで横たわっていたみたいだった……。

 意識を取り戻した時には、今度はうつ伏せの状態だった。下は土の地面であり、ヒンヤリとしていた。

 その状態から身を起こして、辺りを覗ってみる。左右には木々が覆い茂っていた。それが先の方で見えなくなっている。俺はどこかの森か林の中の道の上で倒れていたみたいだった。

 とりあえずは立ち上がり、どちらへ行くか決めるべきなのだが、どちらに向かっていけばいいのかは、皆目見当が付かない。俺はその場で胡座をかき、一先ずはどちらへ進むべきなのかを考え出した。

 しばらくその状態でいると、どこからか「チリンチリン」という音が聞こえてきているような気がした。なんの音なのか耳を澄ませていると、今度は「ガラガラガラガラ」という、何かが回っているような音も聞こえてきた。「チリンチリン」と「ガラガラガラガラ」いう音は、どんどんと大きくなってくる。その音の正体がと、だと気付いた時には、音の出元は道の一番近くの曲がり口まで来ている様だった。俺は素早く、その場でうつ伏せになって倒れた。その場から離れなかったのは、単にパニッくっていたからだった。

 俺の真後ろ、足元の方で音が止まった。どうやら俺の存在に気が付いたようだ。心臓が痛いぐらいにバクバクしている。異世界に来てから、すぐに誰かと出会でくわすなんて思ってもみなかった。

 後ろで止まった何かからは、しばらくなんの物音もしなかった。やはり、俺を警戒しているからなのかもしれない。だが、やがては『馬車のような物』から、誰かが降りたような気配がした。足音が俺の方に近付いてくる。ゆっくりと近付いてきたその誰かは、俺の真横まで来て止まった。俺をジッと観察しているような気配がする。俺はなんとか無表情を保っていたが、緊張でオシッコが漏れそうになっていた。

「……大丈夫ですか?」

 女性の声がした。俺は薄らとまぶたを開き、うつ伏せの状態から目線を動かして、その声の主を確認した。

 俺の目には、金髪の美しい女性の姿が映っていた。

 俺の脳内では歓喜の声が沸き上がる。異世界でいきなりこんな美女に出逢えるなんて夢のようだ。神様も粋な計らいをしてくれる(神様のおかげかどうかはわからないが)。

 俺は素早く起き上がり片膝立ちになると、

「だ、大丈夫です!」

と、答えた。

 しかし、その反動で貧血を起こしたのか、目の前がいきなり真っ赤になり、そのまま後ろに引っくり返ってしまった……。

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