1日目-7

”やった出口だ”


 僅かではあるが光が差しているその場所は、今までの不気味だった空間とは異なって何となく安心する感じがしている。


”これで黒暗地獄から脱出できた”


 少し早足で階段を昇り、明るい空間に出るとそこはスタート地点とは違う部屋だった。窓際に置かれた椅子に座って、緊張で汗にまみれた手をハンカチで拭きながら、これから上がってくるであろう友達たちを待った。


 暗闇の中にいると時間の感覚が無くなる。僕の次は、和哉だったはず。和哉なら、怖がりもしないでサクサク歩いてくるんだろうけれど、なかなか出てこないな。そんな事を思いながら、切っていたスマホの電源を入れつつ、階段を見つめていた。


 やがて階段を上がってくる足音が聞こえてきて、和哉の姿を確認できた。


「和哉」


「信士か」


 あれ、さっきまでの和哉と違って何だか元気がないように見える。


「和哉、大丈夫?」


「ああ、でも本当に真っ暗闇って怖いもんだな」


少し照れた表情を見せながら、和哉が呟いた。何だ、和哉も怖かったのか。

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