1日目-6
出口から入り口に向けて流れ込んでくる風が、あいも変わらずフフフ、キャハハと子供の笑い声のように聞こえてくることでさらに不気味さが増してくる。
昨日インターネットで調べた暗闇に類似する黒暗という言葉。真っ暗闇のこの状況は、黒暗地獄というにまさに相応しい。
"地獄って"
自分で妄想しておいて、そんな自分に突っ込んでしまい苦笑する。
でも、この笑い声は本当に風鳴りなのかな。何かに見られている感じもあるし、何も見えないこの状況では、まわりに幽霊がいようが、妖怪がいようがおかしくないよね。視覚が効かないこの状況では、聴覚、嗅覚などが異常な位に鋭敏になる。鋭敏になった感覚が伝える音や匂いなどの外的情報に僕の恐怖心という内的要因が加わって、ありもしない何かがいるように錯覚しているだけだ。論理的に考えろ、パニックになるな。
僕は壁から右手を離さないように注意しながら、慎重に一歩ずつ足を運んだ。相変わらず子供の笑い声のように聞こえる風の音を聞きながら、歩いていくと壁を触っていた右手に硬い金属のようなモノの感触があった。
”これが錠前か”
左右に動かすと確かにガチャガチャと聞こえる。よし、後は出口を目指すだけだ。こんな不気味なところ早く抜け出したい。急いで三回目を鳴らし錠前を後にして、先程と同じように壁伝いに歩くとうっすらと光が差しているところが見えた。
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