日記(高校生編⑤)

▽▽月○○日

夏休みが終わり、今日から後期初日。

僕はいつもより早く学校につく。

僕の斜め上の下駄箱には小さい外靴が綺麗に収まっている。

僕は教室のドアを開ける。窓側の席にあの子は座りながら本を読んでいた。

自分の席に座り、参考書を開く。恋にも参考書があればどんなに楽だろうか。

それから、何事もなく学校を終え、家に帰る。

あの子とは直接会うのは久しぶりだったのにそんな感じはしなかったな。

あの子と二人だけの数分間。これが僕はすごく好きだった。

この世界には僕たちだけしかいない様な気がして。

ふと、あの子の好きな人は一体どんな人なんだろう。

確かバイト先の人って言っていた気がする。

そんなことを考えると胸がまた痛くなりそうなのでもう寝ようと思う。


▽▽月××日

最近早く学校に行って勉強をするのが日課になった。

ただ、教室にあの子が先にいるとあの子のドアの音で振り返る目線に胸を痛めるのであの子よりも先に学校につくことにした。

席に座り参考書をめくっていると、ドアが開きあの子が入ってくる。

そのまま席に座るとカバンから水筒を取り出し一口。

のどを潤し終えると、本を取り出し読み始める。

「おはよう」この四文字をのどから引っ張り出そうとしても、僕の「おはよう」は頑固のようだ。

あの子を観察しているとクラスメイトが入ってくる。

僕は慌てて目を参考書に落とした。

家に帰ると昨日のあの子の好きな人の事を考えてしまう。

知りたい気持ちとこれ以上自分の心を傷つけたくない気持ちが戦いを始める。

同じクラスメイトであの子と同じバイト先の子にメールを送った。

「あのさ、聞きたいことがあるんだけどあの子って好きな人いるの?」

数分後返信が帰ってくる。

「いるよー。二人とも今めっちゃいい感じなんだ~」

「そうなんだ。ちなみに年上?」

ちなみにこの時僕は勝手に年上だと決めつけていた。

理由はわからない。ただ、年上だとしたらつけ入る隙はないと思っていた。

「あんまりいいたくないんだけど.....」

ケータイにこの部分だけが出てきたとき僕の悪い予感は当たった。

僕は悶絶した。好きな人がいるだけでも僕の心はズタズタに引き裂かれたのに、よりによって年上。

こんな事なら聞かなきゃよかった。

もうおしまいだ、見るのをやめよう。どうせ年上に決まってる。

年上じゃなきゃそんな文面の書き出しはしない。

危ない恋をあの子はしている。どのくらいの年の差かはわからないが、歳が歳なら犯罪まである。

既読をつけるのは明日の朝でもいいや。

僕は落胆しながら布団に入った。

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