日記(高校生編①)

〇〇月□□日

高校入学から1週間がたった。僕の心は1週間のうち1度も雲がかからなかった。

入学初日、僕は他よりも教室に入り、自分の席を確認しに黒板に貼ってある座席表を見に行った。

すると、なんと同じクラスにあの子がいるではないか!

僕の心拍数はすぐに上昇し、鼓動が静かな教室に響く。

やはり神はいたのだ。僕は神に気に入られている。

早く明日が来てほしいのでいつもより早く布団に入ろうと思う。


◎◎月〇〇日

前回から約1か月がたった。今は学校祭シーズン。

友達がいうにはなんでも、「学際マジック」というものがあるらしい。

そんな突発な恋には僕は興味がない。

甘いか分からない果物を食べるより甘いと分かってから食べたほうがおいしさが違うに決まってる。

僕はそう信じているので学際マジックには聞く耳を持たなかった。


◎◎月××日

無事学校祭が終わった。つらい時期もあったが友達との絆がより深まった気がした。

あの子も準備期間から働いてきた努力が報われて泣いていた。

それを見た僕も泣きそうだった。

そんなことは置いといて、僕は初めて1歩踏み出したのだ。

友達に連れられあの子と写真を撮りに行ったのだ!

緊張して声が出ない僕に君は「写真を撮ろう」と言ってくれた。

撮った写真は僕の家宝にしようと思う。


◎◎月△△日

最悪の一日だった。あの子が隣のクラスのやつと付き合った。

それを聞いたとき、僕はただ茫然としていた。

大丈夫かと声をかけてくれる友達、なんでもっと早く行かなかったのだと笑いながら言う友達。僕は一人になりたかった。


◎◎月□□日

一日経っても僕の心には大粒の雨が絶え間なく降り続けている。

僕の何がいけなかったのか。性格か、あの子のタイプの問題か、そんなことを僕は頭の中で考えていた。

しかし、僕の中では答えは出ていた。

答えはすごく簡単で友達も言っていた。

待ちすぎた。ただそれだけ。誰でも普通に考えればわかる問題だった。

あの子は僕の事など微塵も想ってはいなかったのだ。

あの子が僕に見せてくれていた笑顔やかわいい仕草は僕だけでなく、周りも見ていたのだ。

勝手に僕があの子は自分のものだと思っていただけ。

僕の恋愛に対する臆病さと、誰にもとられないであろうと踏んでいた怠惰がこの状況を招いたのだ。

自分から行動しないと前には進まない事など分かっていた。

ただ、分かってはいても僕にはできなかった。

僕の信念が邪魔をしたのだ。

甘いかどうかは手に取って食べてみないとわからない。

苦く悲しい僕の初恋だった。

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