第3話 部屋

家に着くと、僕はすぐに自分の部屋に向かった。


すると、妹の美香が「お兄ちゃん、サヤちゃん、お帰り」と声をかけてきた。


「おぅ、ただいま」


僕は妹にいつも通りの返事をし、やはりサヤは妹にも見えていることを確認した。


部屋に入ると僕は勉強机の下に鞄を置き、椅子に腰掛けた。


すると、サヤがブレザーをさっと脱ぎ捨て、カッターシャツのボタンを上から順番に外し始めた。


「おいおい、ちょっと待てよ」


僕は動揺を隠せなかった。


「どうしました?」


ボタンを外そうとしたサヤの手が止まった。


「どうもこうもないだろ。なんで堂々と服を脱ぐんだよ」


「家に帰ったら部屋着に着替えるのは普通だと思いますけど…」


「違うって俺に見られて恥ずかしくないの?」


「まあ、今更というか健太は私の全てを知っているはずなので特に問題はないですよ」


「問題あるって!女の子が堂々と服を脱いでいいわけないだろ!」


僕はサヤに背を向けた。


「着替え終わったら教えて!」


「わかりました。怒らなくてもいいのに」


僕は布が彼女の身体を滑る音に意識を向けないわけにはいかなかった。


僕は女の子に免疫がない。


つまり、目の前で女の子が服を脱ぐなんて経験はしたことがあるはずない。


確かにサヤの言う通り、僕がサヤを考えたし、顔や身体も僕が全部考えた。


だから、何を今更というサヤの主張もわかる。


でも、現実に目の前にするのと知っているのでは全然違うんだ。


しかも、史上最強に僕好みの女の子だ。


その子が目の前で服を脱ぐなんて心臓が耐え切れるはずがない。


「いいですよ」


振り向くと、白いワンピースを着た最強に美しい女性がいた。


彼女は僕が考えただけある。最強の美少女だ。


「何ボッーとしてるんですか?着替えないんですか?」


「いや、じゃあちょっとあっち向いてくれないか?」


僕はサヤに不意を突かれた。


「着替える時はお互いに見てはいけない?」


サヤは首を傾げた。


「そうだね。そうしよう」


僕は何か惜しいことをした気がしたが、お互いの着替えは見ないルールにした。


僕が制服のネクタイを外そうとすると、突如悲鳴が聞こえた。


「きゃーっ!」


サヤが目を見開き「美香ちゃんが危ない!」と言うとすぐに部屋から飛び出した。

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