-o-o- 37

「ったく……」


怒り収まらぬ玉邑たまむらさんの翻した背の先

撃沈した光太こうた先輩に駆け寄る白崎しらさきさん。


笛吹うすい先輩、メガネが……」


衝撃で吹っ飛んだ眼鏡を拾って渡そうとするも、なんとか仰向けになれた光太先輩に、それを受け取れる力は、もう、無かった――


かえで様……俺は、もう……。このメガネを、オレの、墓前に……」



――なにこの茶番。



「っっっー! みんなしてメガネメガネメガネって、なんなのよもー!」


正論でもってとうとう爆発した玉邑さんの鬱憤うっぷん


キレイな黒髪が

自我を持ったかのように

うねうねと

いくつもの束に

その姿、まるで

蛇髪の女メドゥーサ……!



他所よそでやんなさいよ!!!」



僕は

見逃さなかった

間髪入れず

明城みょうじょう先輩が

玉邑さんの後ろで

メガネサークルの垂れ幕を

指差していたのを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る