-o-o- 36

「お礼を言われる筋合いもないわよ! 勘違いしないで!」


やっとこ絞り出した返事は、やはりどことなくトゲトゲしくて。


「べ、別にイチギョーのために言ったわけじゃないんだから」


「は、ははは」


イチギョーがすっかり定着している。


「ぷっ、ぷぷっ、繭子まゆこ、お前アレかー、アレだったか。いや薄々わかってはいたんだが」


ちょいと聞いておくれよ皆さん。

小悪党の下っ端みたいなジェスチャーで光太こうた先輩が玉邑さんの近くに割り入ってきた。


静かに息を吐く玉邑さん。

あれ?

玉邑さんの体を

覆う

もやのような

あれは一体――


「ツン ドラァーーっ!」


光太先輩が喋り出すのと

玉邑さんの裏拳がキレイに入るのとが重なって

途中から絶叫になった言葉に

向瀬むこせさんが的確な訂正ツッコミをいれた。


「先輩、それは永久凍土えいきゅうとうどです」

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