-o-o- 35

ものすごい物音がした。

居ても立っても……居ても伏せてもいられなくて、思わず顔を上げる。


目を閉じ、握り拳を顔の前で震わせている玉邑たまむらさんと

頭を抱えて低頭するすずちゃんさんと

いつでも脱出できるようドアノブに手をかけている向瀬むこせさんと


壁にめりこんでいる光太こうた先輩。


――地獄。


「ムダな体力使わせるんじゃないわよ!!」


「ま、まゆ〜、ごめんね〜」


冗談冗談あはははは。

顔の前で両手を合わせながら、涼ちゃんさんが玉邑さんに擦り寄った。

向瀬さんは完全に空気と一体化している。

少し透けてきた。


いやいや、分析してる場合か。

僕のためにこんな事になっちゃってるんだから。


「本当にもう大丈夫です。あの、気遣ってもらっちゃって……ありがとうございます!」


「な! いや……ぁ、え……と、ぅ」


一瞬で耳まで真っ赤

しどろもどろで泳ぐ目と

ぱくぱくしっぱなしの口。


感謝免疫ゼロかい!

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