-o-o- 38

「まーまー。まゆ、落ち着いて〜」


「まゆちゃん、お茶ですわ」


「ありがと……」


息も切れ切れに、すずちゃんさんと白崎しらさきさんになだめられ落ち着きを取り戻し始めた玉邑たまむらさん。

眼鏡と怒号と茶番の混沌カオスは、収まりつつあった。


室外から鳥の囀りや環境音が聞こえてくる。

今までどれだけ騒がしかったんだ。

いくら離れとはいえ、うるさすぎて怒られたりしないのかな。

心配になってきた。


でも――


光太こうた先輩が再び口を開く。

も、もう、やめてね。

せっかく落ち着いたんだから!


「でも、これがいーんじゃんか。好きばっかりの集まりよかさ、嫌いって意見もあってこそ伸びるもんも伸ばせるもんもきっとあんだろー?」


静寂、いや

さっきまで聞こえたいたはずの室外音すら

何も聞こえなくなるほどの

これは、凍結フリーズ


「え、どしたのみんな」


「ごめん……ちょっとやりすぎたかも……」


「か、かかかかえでちゃん! 病院! 大きいとこ!!」


「じいっ! 急いでぇ!!」


凹みに凹んだ

玉邑さんの横で

指示を出す

すずちゃんさんに

半泣きで応え

通話先に絶叫する

白崎しらさきさん


そして

初めて見た

光太先輩の

虚無な顔なんでやねん

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る