-o-o- 29

所変わって渡り廊下より――


「はぁ……なんでワタシが買い出しなんか……とんだとばっちりよ」


だるそうに歩きながら、玉邑たまむらがボヤいている。


「やんなっちゃう、さいてー、もー」


「とばっちりは俺だ」


部長に買い出し指令を出されるや否や、手近にいた俺を無言で引っ張り、あれよという間に購買までの道中に駆り出された。

何の苦行だ。

む、紐ネクタイが曲がっている。

調整が容易。利用も管理も容姿も容易シンプル。まさに機能美。

紐ネクタイは、いいぞ。


「そもそも、こんなサークル入りたくなかったのよ? ワタシは」


ならば入らなければよかっただろう。

そんな進言、できるはずもないが。

む、左モダンのテンションが軽い。

ヒンジか?

直したい。


「あーもやってらんないわよーか弱い乙女をこき使うなんて信じらんないもーケーキのひとつでも食べないと採算合わないわよそうよ元はと言えばあのうすハ――」


逆らわぬが仏、だ。

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