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義務教育ではない、という事は、あらゆる事に淡白だ。

先生が友達に、転入生と仲良くしましょう! などと言うはずもなく、

休み時間に包囲され、誰から行く? 何を聞く? という空気がじりじりと近づいて来るようなこともなく、


「今日は、ね。一人、ね。増えました、ね。……はい、じゃあ昨日の続きから」


ギブミー昨日の続き。

なんて言う暇も無くすずちゃんさんのヘルプが本人ごと飛んできて、あっという間に僕は昨日もこの教室に居たかのような生徒になった。

学科のみんなも、彼女に捕捉されたんなら、といった反応で。

最後の講義が終わる頃には、こっちが名前も知らないクラスメイトから、


「岡本さん、明日の実技なんだけど」


などと呼ばれる程になっていた。


そんなこんなで。

放課後。


「えー!? サークル入ってくれないの〜?」


眉を八の字に、口を尖らせながら、涼ちゃんさんのブーイングを聞く。


「いや、あれはほら、巻き込まれたというか、まだ他にどんな部活があるかも見てないですし……」


「なぁんだ。じゃあ、体験新入部員だーっ!」


がしっ


「なんだそれ聞いたことないし昨日のでもう十ぶわぁぁぁあー!?」


謎理論にツッコんでいる間に

動きすべてが天真爛漫な栗毛のお団子に

縮地使いかよ、って言いたくなるほど一瞬で距離を詰められ

僕は捕まったのでした。


おわり。

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