-o-o- 26

「機械科だったんだー、全然知らなかったよー!」


「僕もです……」


昨日、学年は聞いたけれど、学科までは聞いてなかった。

すずちゃんさんが同じ機械科だったのもあって、初日の教室で必ず起こる、誰だ! 誰だ! 誰だー! の無い世界を初めて体験する事になった。

誰だ、の「だ」が発生するや否や、涼ちゃんさんが飛んでいき全てを説明してくれる、というものすごい光景とともに。


結果的に、また助けられちゃったなぁ。


「偶然偶然! よろしくね! わかんないことあったら何でもきいてよ!」


どんと胸を叩いて見せた。


「あ、どもです」


姉御肌タイプなのかな。背は決して高くないけれど。

……容姿関係ないわ。ごめん。


「んじゃ〜あ〜、まぁ、とりあえず? お近づきの〜」


体ぐらいある大きなボストンバッグのチャックを開けて、端の方をごそごそをやりはじめた。


え、何。贈り物?

転校前日に贈り物をくれた友達はいたけれど、転校初日に贈り物をくれる人は流石にいなかった。

昨日の今日だから、無くはないかもしれないけれど……えぇー?


ばっ


「どれかけてみようかっ!」


手に持てるだけの、フレーム、フレーム、フレーム。


「お近づきのメガネ!?」


どう考えても

選ぶまで引き下げてはくれない

笑顔だった。

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