-o-o- 21

とりあえず落ち着こう。


誰かからの提案で、部室の真ん中に置かれた人数の割に大きな会議用デスクを囲むように各々が座りだした。

じゃあ僕は、と、帰路の前にカバンを手に取ろうとしたら、すずちゃんさんに腕をガッシリと掴まれ、そのまま隣の席へと座らされてしまった。


「このサークルも発足から1年が経つわけだが……」


腕組みをして、本気で悩んだ顔をした光太こうた先輩が続ける。


「まったく部員が増えないのは、何故か……」


考え込んでいます、という様相のままチラリと全体を見やる。

わからないかね、そうかねそうかね、といった一人頷きをしだす。


ガタッ


「それは部のアッピィールが足りないからだと!」


「誰かの人格の問題だと思いまーす」


勢いよく立ち上がった光太先輩の言葉を瞬時にへし折るような玉邑たまむらさんの正論。

……あ、何も知らないのに正論とか言っちゃった。ごめんなさい。


「機先は名称にあり!」


手で片目を隠すようなポーズで光太先輩は続ける。

背中から特殊能力の具現化が出てきそうだ。

しかし、めげないなぁ。


「そこでオレさま考案のスペシャリテサークル名がこれだっ!!」


バシーン


叩きつけられた紙にはこう書かれていた。


───────

命名

おぷてぃかる!

───────


入部届けの件が

すっかり有耶無耶うやむやにされてしまった

くだんもろとも

掻き消すような

極寒の風それはないわが吹き荒れた。

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