-o-o- 19

かくかくしかじかのこれこれしかじか。


「……入部されるされないではなくて」


「転入すらまだだったとは」


実はそうなんです。

白崎しらさきさんと向瀬むこせさんが、お気の毒さま、という表情で見てくる。


「全部、光太こうたの仕業……」


明城みょうじょう先輩の指差す先で、筆先のような毛束が反論に揺れる。


「だってよー、職員室前でよー」


えー、という顔で光太先輩は続けた。


「あんな寂しそうに歩いてた(ように見えた)ら、見逃せねぇよ!!!」


おろろーんと泣き真似をしだす始末。

途中に小声で何かが挟まって聞こえたような気がしたけど、なんて言ったんだ。


「先輩、そこは"見過ごす"では……」


あんなにも

「あ」と刻まれた

純粋に間違いに気づいた顔を見たのは

生まれて初めてでした。

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