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「入れコノヤロー!」
「ギャース!」
無言で両肩をホールドされたまま押されに押されて校舎脇にあった離れ小棟にまで連れてこられた。
ドアの前に立たされたと思ったら、開けるなりタックルで室内に押し込まれる。
転がりながら見た赤いメガネは、完全に
動きすべてがネタな赤いメガネに感化されたのか
僕もギャースとか言っちゃったし。
もう、めちゃくちゃだ。
「お! みょうちん! おーす!」
「おー……」
みょうちん、と呼ばれた誰かはハスキーな声で答えた。歌うまそう。
冷たい床に頬を預けたまま、声の先の足を見た。
茶色の靴に、薄めすぎたインスタントコーンスープにそら豆を浮かべたような、黄色地に大きめな黄緑丸ドット柄の靴下。すごいなぁ。
「なんだよぉ、まだみんな来てないのかよぉ」
赤いメガネが腹立たしそうにボヤく。
もう僕のことなど、存在していないかのように。
あれ、なんか、腹立ってきたぞ。
「誰?」
ハスキーな声が問う。
「新入部員」
「初対面もいいとこだ!!」
しれっと答える赤いメガネに
初対面だろうがなんだろうが
ツッコまずにいられなかった。
いや、もう知らん、知らんわ!
ガバッと起き上がった僕の頭上で
後ろ手を組んだ "しれっ" が
奥窓から差し込む陽光に
赤いフレームを光らせていた。
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