-o-o- 3

「転校生だよな! そうだろ!?」


目の前に現れた赤いメガネは

下半分だけがフレームになっているものだった。

こういうの何て言うんだっけ。

シモ……アンダー、アンダーなんとか。

外に跳ねた薄茶色の髪の前だけを無造作に束ねて括っている。

言わば、ちょんちょこりんだ。

筆先に見えたのはこれかぁ。

整えられた眉や髪。

派手なんだけどまとまった服装。

靴も綺麗に手入れされている。


なんというか、オシャレさん?


てか、誰?


「かーっ! しかもコンタクトかよ! これだから素人は!」


全開になっているおでこを自らぺしこーんと叩き、のけぞりながら笑い出す。

オーバーリアクションというか、こちらのキャパオーバーな人だなぁ。


てか、誰。


「メガネも、もちろん持ってるよな!?」


「いや、持ってないけど……」


視力は両目2.0だし。

伊達だてで使うようなオシャレは考えたこともないしなぁ。


一瞬、体から分離した赤いメガネが宙に浮いたような気がした。

彼は音もなく崩れ落ち、両膝と両手をついて項垂れる。

時間差でちょんちょこりんも頭を垂れる。


「なんでだよ……」


「なにがだよ……」


し、しまった。

関西の血が騒いで思わず突っ込んでしまった。

初対面の人に。


前まで住んでただけで、生まれも育ちもってわけじゃないんだけど、関西。


てか、誰!!

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