-o-o- 2
僕は
父さんの仕事の都合で転校。
転校は今回が初めてじゃないけれど、慣れるはずもなくて。
荷物も、気持ちも、整理する間もなくダンボールに詰め込まれ、大きなトラックに載せられて。
たった数日後には、誰も僕を知らない所に立っていて。
気がつけば次に行くべき学校の前に立っていて。
毎回そんな感じだ。
「――失礼しました」
今日は連絡をとってくれた先生と職員室で話だけ。登校は明日からだ。
小中とは違って、高専ともなれば「手ぶらでおいで」ぐらいにあっさりしていた。てか、実際そう言われた。
さ、帰ろ……うん?
遠くから地鳴りのような音がする。
するし、近づいてくる!?
「うおぉおおおおおおお!!」
見えたのは、書道家が使うような太い筆の先……のような薄茶色の毛束。
中身大丈夫? と聞きたくなるほど揺れに揺れたショルダーバッグ。
オレンジボーダーのパーカーから
迫りくる、赤いメガネ。
避ける間もなくものすごい速さで現れた赤いメガネの誰かは
避ける間もなくものすごい早さで僕のカバンを掴み
止まらない勢いのままに引っ張られ
僕を軸にコンパスみたいに一周して
正面に戻ってくるなり
両肩を掴まれた。
なにがなんだかなんなんだ!?
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