第160話 未来の海
第160話 未来の海
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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アナスタシア「……海神さま……どうしますか?」
海神『見てもらいましょう……できますね?』
アナスタシア「……はい」
マリア「見せるって、あなたが見た未来を、私たちにも見せてくれるの?」
アナスタシア「その方が、話が早いのよ……そこのあなた」
サリー「わ、わたし?」
アナスタシア「そうよ。イメージの共有、できるわよね?私が見るイメージを、お仲間に伝えてくれる?」
サリー「わ、わかった!」
アナスタシアは目を閉じ、コバルトオーブの上に、そっと両の手のひらを乗せました。
うやうやしく、敬意を払っていることがわかります。
9人は何も言わず、見守っています。
アナスタシアが目を少し開き、サリーに言います。
アナスタシア「あなた杖を使うのね?やり方は何でもいいわ……私と彼女たちに、触れてちょうだい」
サリー「う、うん……みんな、私の身体の、どこかに触れてて」
8人は互いに目を見て頷き、サリーの肩や肘などにそっと手を添えました。
サリー「え、えっと……ごめんね」
サリーは杖の先端をアナスタシアのひたいに触れさせます。
アナスタシアは黙ったまま、目を閉じます。
彼女の集中がさらに高まっていることが、見ていてわかりました。
コバルトオーブが光りはじめたことが9人の目に映ったとたん、脳内には別の映像が浮かんでいました。
海です。
しかしその海は、彼女たちが知っている海とは違いました。
黒く、濁り、波は泡立っていました。
砂浜がみえました。
砂浜には黒い汚泥のようなものが溜まり、その汚泥にまみれた水鳥が体を動かしていますが、見る間に力尽きていきました。
波が穏やかな海域。
そこには魚の死骸が浮かんでいました。
骨が曲がっていたり、尾が二股に分かれていたり、目がなかったり、奇妙な形をしていました。
また別の砂浜です。
海水浴に興じている人々と同じくらいの数、色々なものが落ちていました。
包み紙のようなもの。瓶のようなもの。
どれも色鮮やかですが、砂浜には不釣り合いに見えました。
海の中に、クラゲが漂っています。
しかしそれはクラゲではなく、クラゲのように見える袋でした。
透明で、水に濡れても紙のようにバラバラにならない、不思議な袋です。
それにウミガメが近づき、飲み込みました。
9人は神殿の中にいることに気づきました。
アナスタシアが見せた、未来の映像が、終わったのです。
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