第149話 交代の儀式
第149話 交代の儀式
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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地に落ちたヌシの両目は深い緑の光をたたえていました。
両目を失ったヌシが言います。
ヌシ『そのふたつの瞳を飲み込むことで、お前の両の目の瞳になる。さあ、これが最後の交代の儀式だ』
すると、ミイが口を開きました。
ミイ『先代のヌシよ。僕はこれを受け継ぐことはできません』
マリア「ミイ?何言ってるのよ」
ヌシ『……話を聞こうか』
ミイ『今回の森の病気を解決することができたのは、この9人の乙女たちの力によるものです』
フィスト「いや、乙女だって」
ジャンヌ「なんかムズムズしちゃうね」
キャッツ「森を回ってくうちに女の扱いまで覚えちゃって」
ブラド「かわいくないぞー」
ミイ『ちょっと、黙ってて……えっと、つまり、私だけがこの森の未来を見つめていたわけではありません。とは言え、私に森の未来を託すことに賛成してくれた動物もたくさんいました。だから、片方を私が、もう片方を、彼女たちに持っていてもらいたいのです』
ヌシ『……この大森林を守っていくためには、外からの目も必要だということだな』
ミイ『はい。私はそう思います』
ヌシ『ヌシの瞳を受け継げば、生来の瞳は機能を失う……片目では、いろいろ不便だぞ?』
ミイ『お父さんは両目なくなってるよ』
ヌシ『ふっ……確かにそうだな。わかった。次のヌシはお前だ。好きに決めるといい』
ヌシはそう言うと、ゆっくりと世界樹の枝、幹から体を離しました。
そして、そのまま、森の奥へと姿を消しました。
マリン「えっと、お父さん、これからどうなるの?」
ミイ『多分、どこかの洞窟にでも棲むんじゃないかな?ヌシを降りたんだから、別にどうしなきゃいけないって決まりはないし』
ミイはそう言いながら、事も無げに地に落ちた瞳の一つを飲み込みました。
サリー「ということは、今度はミイが、この世界樹のそばにいるわけね」
ミイ『うん、これでヌシになったみたいだし』
ミイの瞳の片方が、緑色に変わり、元々の瞳は輝きを失いました。
ローズ「がんばってね!片方はもう見えなくなっちゃったの?」
ミイ『うん、見えなくなったよ。で、片方、受け取ってくれる?』
マリア「もちろんよ。ミイが言っていた言葉には、私も賛成だわ。大きなものほど、維持するには外からの目が必要なのよ。私たちが持っていて、役に立つかどうかはわからないけど」
マリアの言葉に呼応するように、地に落ちた瞳の輝きが変わりました。
宝珠のように、透き通った光を放っています。
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