第142話 現場とトップ

第142話 現場とトップ

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

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ヌシ『……お前はシスターだと言っていたな?』


マリア「ええ……この森は、私が身を置いていた孤児院と、教会と、よく似てる」


ヌシ『森と、教会が、か?笑わせる』


マリア「日々増えていく孤児たち……それなのに孤児院には予算も人手もない……現場のひとりひとりが、いろんなものを犠牲にして、乗り越えてきたわ。でも教会の偉い人たちは、それを『教会が権威を持っているからこそ活路が与えられるのだ』なんて言葉で片付ける……」


ヌシ『……』


マリア「身よりのない子どもたちにとって必要なのは教会の権威なんかじゃないわ……安心して眠れるお家なのよ。そのお家を守るのが、トップの務めじゃないのかしら?それなのにあなたは何もしない。今こうして、いろんな生き物が危機に直面してるのに……そして、このままあなたが何もせず、森の生き物たちが大変な犠牲を払って、この危機を乗り越えたときに、あなたはこう言うんでしょうね。『だから言っただろう、この森は大きく強い。どんな困難も乗り越えられる』と」


ブラド「ヌシさん、この森を病気から守るためには、病気の木を切るしかないんじゃない?」


マリン「まずは病原菌がこれ以上増えないようにするのよ」


キャッツ「それくらいの協力はできるわ」


サリー「みんなでやれば、きっとできます」


ヌシ『……お前たちは何もわかっていない……森の木を切ることはできん……森のすべての木は世界樹たちの子どもなのだ……木を切ることは、この世界樹を否定することになる』


マリア「やっぱり……………………あなたは森を守ろうとしてるんじゃないわ。権威を守ろうとしてるのよ。権威を守りたいから、『今まで通りなにもしなくていい』なんていう、今までと同じ方法にしがみつくのよ。新しいやり方を始めることは、権威を否定することになるから」


ヌシ『私をどう解釈しようが構わんが、この森に手を入れることは許さん。この世界樹がここに有る限り……』


マリア「言うと思ったわ……聞きたくはなかったけどね」


ヌシ『……?』


ローズ「マリアちゃんの言った通りになったね」


ヌシ『何が言いたい?』


マリア「この大森林の中心……偉大なる世界樹……こんなものがあるからダメなのよ」


ヌシ『なにをバカなことを』


マリア「切り倒すわよ。世界樹を」

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