第133話
第133話 偉大なる大森林
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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ヌシ『思い上がるな』
9人にとっては意外すぎる言葉でした。
みんなが何も言えずにいると、ヌシは続けました。
ヌシ『……人間ごときがこの森をなんとかするだと?見当外れすぎて腹も立たん』
フィスト「はぁ!?ちょっとあんた!おかしいやろ!」
ヌシ『ふん、さっきまでこの姿に怯えていた小娘が……虚勢を張るな』
フィスト「もう慣れたわよハゲ!」
リーフ「ちょ、ちょっとフィスト……ヌシよ、いちお」
ローズ「蛇にハゲって合ってるの?(笑)」
マリア「まぁ、間違いではないけどねぇ」
ヌシ『なんとでも吠えていろ……この大森林は、何万年と続く、大いなる命のゆりかごだ……一部の木がかかる病気などに、存亡が揺るがされるものか』
ブラド「森の民は大事なんちゃうの?木だって、森の民やろ?」
ヌシ『その民がかかる病もまた、ひとりひとりの民に与えられた命のあり方だ。ありのままにすべきだ。この偉大なる大森林は、そんなものではびくともしない』
キャッツ「いやいや、してるでしょうが」
ジャンヌ「本来なら灰皮病にはかからないスミクヌギがかかってるのよ?」
サリー「新種の病原菌っていう可能性もあるんです。このままじゃ、ほんとに森の木が、全部死んじゃうかもしれません!」
ヌシ『よそ者がこの森の何を知っている……この森の強さを、偉大さを知る者なら、なにもする必要がないことなどすぐにわかる……「なんとかしたい」だと?余計なお世話だ』
フィスト「……んぐぐぐ」
ジャンヌ「フィスト、待って……」
ジャンヌがフィストを手で制して、一歩前に進みました。
リーフ「ジャンヌ……」
ジャンヌ「…………じゃあ、オーブについて教えてもらえる?この森のどこかにあると思うんだけど」
ヌシ『お前たちの務めを邪魔する理由などないからな、そんなものあればくれてやるところだ。だが残念ながら、この森の中には、そんなもの、ありはしない』
ジャンヌはヌシをじっと見つめます。
ヌシも、緑色の瞳で、ジャンヌを見つめます。
8人は、その様子を黙って見ていました。
ジャンヌ「…………わかったわ。でもしばらくはこの森にいさせてくれるかしら?『ここにはない』って聞いて、はいそうですかって、諦めるわけにはいかないから」
ヌシ『好きにしろ。この森は誰も拒まぬ……誰も追わぬ』
ジャンヌ「とりあえず、礼を言うわ。ありがとう」
ジャンヌは踵を返し、ヌシに背を向け、歩きだしました。
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