第133話

第133話 偉大なる大森林

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

**********



ヌシ『思い上がるな』


9人にとっては意外すぎる言葉でした。

みんなが何も言えずにいると、ヌシは続けました。


ヌシ『……人間ごときがこの森をなんとかするだと?見当外れすぎて腹も立たん』


フィスト「はぁ!?ちょっとあんた!おかしいやろ!」


ヌシ『ふん、さっきまでこの姿に怯えていた小娘が……虚勢を張るな』


フィスト「もう慣れたわよハゲ!」


リーフ「ちょ、ちょっとフィスト……ヌシよ、いちお」


ローズ「蛇にハゲって合ってるの?(笑)」


マリア「まぁ、間違いではないけどねぇ」


ヌシ『なんとでも吠えていろ……この大森林は、何万年と続く、大いなる命のゆりかごだ……一部の木がかかる病気などに、存亡が揺るがされるものか』


ブラド「森の民は大事なんちゃうの?木だって、森の民やろ?」


ヌシ『その民がかかる病もまた、ひとりひとりの民に与えられた命のあり方だ。ありのままにすべきだ。この偉大なる大森林は、そんなものではびくともしない』


キャッツ「いやいや、してるでしょうが」


ジャンヌ「本来なら灰皮病にはかからないスミクヌギがかかってるのよ?」


サリー「新種の病原菌っていう可能性もあるんです。このままじゃ、ほんとに森の木が、全部死んじゃうかもしれません!」


ヌシ『よそ者がこの森の何を知っている……この森の強さを、偉大さを知る者なら、なにもする必要がないことなどすぐにわかる……「なんとかしたい」だと?余計なお世話だ』


フィスト「……んぐぐぐ」


ジャンヌ「フィスト、待って……」


ジャンヌがフィストを手で制して、一歩前に進みました。


リーフ「ジャンヌ……」


ジャンヌ「…………じゃあ、オーブについて教えてもらえる?この森のどこかにあると思うんだけど」


ヌシ『お前たちの務めを邪魔する理由などないからな、そんなものあればくれてやるところだ。だが残念ながら、この森の中には、そんなもの、ありはしない』


ジャンヌはヌシをじっと見つめます。

ヌシも、緑色の瞳で、ジャンヌを見つめます。

8人は、その様子を黙って見ていました。


ジャンヌ「…………わかったわ。でもしばらくはこの森にいさせてくれるかしら?『ここにはない』って聞いて、はいそうですかって、諦めるわけにはいかないから」


ヌシ『好きにしろ。この森は誰も拒まぬ……誰も追わぬ』


ジャンヌ「とりあえず、礼を言うわ。ありがとう」


ジャンヌは踵を返し、ヌシに背を向け、歩きだしました。

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