第109話

第109話 鳥人族の誇り

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

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ジャンヌ「気持ちはわかるけどね、あなたも望んでいたんじゃないの?」


アウル「…………どういう意味だ」


ジャンヌ「キャッツの、と言うより、私たちの伝えたいことが、国王に伝わったら、あなたたちはここに留まることをやめて、もっと広い世界に翼を広げることになるわ。そうしてこそ初めて、鳥人族の誇りは守られる。そうでしょ?」


アウル「…………なぜそんなことを?」


ジャンヌ「不満そうに聞こえたからよ。今の国王の話をするとき、あなたの声がね」


リーフ「本当は、この神殿の中に、いえ、この空中都市に、居たくないってことですか?」


ジャンヌ「居たくないんじゃないの。居なきゃいけないこと、縛られてることに耐えられないの。それなのに、耐えるしかないから、辛いのよ」


アウル「賢しいお嬢さんだ…………空を自由に羽ばたく翼を持っていながら、この浮き島に縛られている。ほかならぬ、我々の国王の小心のために、な」


マリン「なるほどねー、じゃあ大臣さんが人間やドワーフを毛嫌いするのは、他種族と関わることが許されない現状への歯がゆさの裏返しってわけ?かわいいとこあるじゃん」


大臣は神殿の外の、空を眺めています。


ジャンヌ「国王の命令なら仕方ないわよね?でも、だからこそ、種族間の大問題になるようなことをしないと、現状は変わらないんじゃないの?」


マリア「それに、あなたみたいなことを考えている鳥人がたくさんいるなら、何か変わるはずですよね」


アウル「…………ボルカノが最初の手紙で言っていたことが、今ならよくわかるよ」


大臣は懐から1枚の手紙を取り出した。


リーフ「それ、さっきの?」


アウル「『面白いものをそちらに届けた。君たちの国が大騒ぎになること間違いない。楽しみにしてるよ』……か。まったく、とんだお届け物だよ」


アウルは神殿の外の空を見ているので、8人にはわかりませんでしたが、彼は少しだけ笑っていました。


サリー「ほんとに大騒ぎになっちゃったしね」


フィスト「ま、話はキャッツたちが戻って来てからね」


ブラド「いつ戻ってくんの?(笑)」


ジャンヌ「まぁわかんないんだから、宿でも取って気長に待ちましょう」


ローズ「さんせー!あ、宿ってあるの?」


アウル「案内にしよう」


キャッツが鳥人族の国王と衛兵ふたりを連れて戻ってきたのは、次の日の昼過ぎでした。

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