第95話

第95話 射出

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

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サリー「そだ、浮遊石の結晶……用意しなきゃ」


ロックス「その必要はないぞ」


マリン「なんでよ?」


ロックス「射出の角度、風向き、風速、砲弾の重量、そして空中都市の位置。すべて計算して射出されるんだ。お前らが乗るこの砲弾は、空中都市の端っこに、ちょこんと乗っかることになる」


ジャンヌ「ほんと!?すごいね、ドワーフって」


ロックス「怪力だけじゃないんだよ。得意分野は工学と言えるかもしれんな。念のために衝撃で膨らむエアバッグもつけたそうだが、出番はないだろう。で?準備はできたか?」


ブラド「オッケー」


席についた全員がうなずいたとき、ボルカノが外から話しかけてきました。


ボルカノ「お嬢さんがたには世話になったな。特にマリンよ」


マリン「いや、そんなことないよ」


ボルカノ「この地にオーブが託されていた意味、そしてお嬢さんがたがこの地を訪れることになった意味を考えていた。おそらく、この地に住む我々には欠けていたのだろう。『世界に目を向けよう』という気持ちが」


全員が静かに聞いていました。


ボルカノ「世界をひとつにするためには、その気持ちは欠かせないものだと思う。だからこそ、マリン、お前がオーブに触れたときに、オーブはキューブに収まったのだろう……お嬢さんがたの旅は、オーブを集める旅であると同時に、世界の心をひとつにする旅だ。大変な旅になると思うが、健闘を祈る」


そう言うとボルカノは9人に背を向け、歩きだしました。


マリン「ありがとう……ボルカノさん。ロックスさんも」


言葉に出したのはマリンだけでしたが、ほかの8人も同じ言葉を胸の中で繰り返しました。


ロックス「それじゃ、点火して射出だ。しっかり掴まってろよ」


ロックスがそう言って扉を閉めました。

9人には見えませんでしたが、ロックスは扉を閉めると、周りの作業員に『装填』を指示しました。

砲弾はごろごろと転がされ、大砲の中に収まります。


そしてロックスは、地面に這わせた導火線の端を、思い切りハンマーで叩きました。


鉱石同士が火花を放ち、導火線に火がつきます。


数秒後、轟音とともに9人を乗せた砲弾が飛び出しました。


ドワーフたちが、それを見守ります。

「健闘を祈る」

よく使う言葉ですが、ボルカノとロックスは、心から祈っていました。


砲弾が青い空を飛んでいきます。

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