第94話

第94話 射出準備

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ボルカノ「おい!ひらけ!」


ボルカノが近くに待機していたドワーフに声をかけました。

作業員なのでしょう。彼は大砲のそばの地面に埋め込まれたレバーを、ガチャンと倒しました。


すると、砲身の延長線上、地下から見れば天井ですが、地上から見れば大地が、ゴゴゴゴゴゴと音を立てて、開きはじめたのです。

5分も待たず、円形の穴があきました。


ボルカノ「どうだ!地下と地上をつなぐ射出口が必要なら、大地を開閉式にしてしまう!これがドワーフの誇る技術の結晶だ!」


マリン「おとつい見たわよ」


ボルカノ「なにぃ!?」


リーフ「うん、旅立ちの塔でも、おんなじ開きかただった」


キャッツ「驚くほどじゃないわねー」


ボルカノ「なんだ……つまらん。じゃあ乗れよお前ら早く」


ブラド「雑すぎよ」


ジャンヌ「乗れって、あれ?」


ジャンヌが指さした先には、黒々とした丸い、巨大な玉がありました。

9人全員がゆうに立って入れるほどの大きさです。


ロックス「あぁ、そっちに扉があるだろ」


フィスト「ん?あ、ほんまや」


ロックス「中に入ってみろ」


9人はひとりずつ扉をくぐりました。

すぐに玉のなかは、歓声でいっぱいになりました。


リーフ「すごーい!なにこれ!」


ローズ「全員に座席があるの!?」


サリー「ステキ……」


玉のなかは9人の座席が円形に配置されていました。

全員が向かい合うように作られています。


ロックス「座ったらシートベルトを、まぁそのベルトだ。引っ張って固定しろ。よし。で、さらに安全バーを下ろしてロックしろ」


マリア「もしかして、もう出発?」


ロックス「ん?それでいいんだろ?」


フィスト「待って待って、心の準備が」


サリー「そだ、浮遊石の結晶……用意しなきゃ」


ロックス「その必要はないぞ」

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