第77話

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第77話 ドワーフの里


マリン「すっご……」


9人の目の前に広がった景色は、今まで見たことも、想像さえしなかったものでした。

地下であることは間違いありません。


それなのに、山一つでもすっぽりと入ってしまうほどの空間があったのです。

そしてそこには、街がありました。


民家や公園、遠くにはお城のような建物も見えます。

ガラガラと音を立てながら、トロッコ列車がうごいています。


9人とドワーフの男はその空間の、ほんの隅っこの岸壁に開けられた穴に出たのです。

見下ろすと、数十メートルの高さだとわかります。


ロックス「ほら、行くぞ」


言うとロックスは9人の様子を確かめることなく、階段を下りはじめました。

階段は崖をそのまま削り出して作られたものらしく、鉄製の手すりがついていました。

9人はロックスについて行きながら、あたりを見渡します。


サリー「これが、ドワーフの里……」


リーフ「すっごいねー!」


フィスト「里というより、街?いや、国よね。お城みたいなのもあるし」


ジャンヌ「ねぇ、ロックスさん、これ、天井、崩れてこないの?」


ロックス「あん?あぁ、大丈夫だよ。めんどうなんで説明はしないが、きちんと支えられてる構造になってる」


マリア「へえ、すごいね」


9人全員が階段を下りおわりました。


ロックス「で、宿屋でいいんだよな?」


ジャンヌ「ええ、ありがとう。助かるわ」


ロックスはそれを聞くと、再び歩き出しました。

9人は後に続きます。


ローズ「ねーねー、でもさ、ベッドもドワーフサイズだったらどうしよう(笑)」


ブラド「ほんまやね」


ロックス「あのなぁ……里のもんが里にある宿屋なんか使うか。お前さんたちのサイズだから安心しな」


キャッツ「ねぇ、さっきからえらく無愛想だけど、そんなにほかの種族が嫌いなの?」


ロックス「……俺なんかまだ親切な方だぞ」


ジャンヌ「そうなの?」


ロックス「……すぐにわかる」


いつの間にか、10人は街の大通りのすぐ近くまで来ていました。

それは人が住む街よりも、すべてがひとまわりだけ小さな、街でした。


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