第76話
第76話 ドワーフという種族
ロックス「……よっと」
ドワーフの男が持ち上げた岩の下には、降りていく階段がありました。
ロックス「こっから入るんだ。さ、ひとりずつ入んな。天井はあんたらには少し低いから、気を付けなよ」
キャッツ「えー!案内してくんないの!?」
ロックス「俺が支えてなきゃ入れないだろうが!後でまた先頭に回るから!わかったらさっさと入れ!」
ジャンヌ「よし、行こう」
ジャンヌを先頭に、9人がひとりずつ、階段を降りていきました。
階段の幅が狭く、天井が低い、体格の小さなドワーフ用とわかる通路です。
通路はぼんやりと明るく照らされています。
両側の壁に、明かりがありました。
明かりは等間隔に、通路の奥の奥まで続いています。
リーフ「なにこれ?明るいのに、火じゃないよ?」
リーフが壁に手を伸ばしました。
サリー「あ、これ……ハッコウセキ」
マリン「なに?それ」
ジャンヌ「発光する、石?」
サリー「うん。お師匠様に一度見せてもらったことがあったけど、こんなに大きなものを、こんなにたくさん……」
フィスト「貴重品なの?」
サリー「貴重というより、ここまで安定した光を強く出すためには加工が必要なんだけど、それがすごく難しいの」
ブラド「ドワーフって、鉱物の加工が上手って言うもんね」
マリア「そうか、こんな地面の下で火を燃やしたら酸欠になっちゃうから」
リーフ「ドワーフってすごいね、力持ちだったし」
ジャンヌ「そうだね。みんな!明かりはあるけど、足元には気をつけてね」
ロックス「黙って歩けないんかい」
ジャンヌ「わ!ビックリした。いつの間に前歩いてたの?」
キャッツ「ちっちゃいからわかんなかったよ」
ブラド「いいね、天井高くて」
ロックス「うるせえな、ほら、もうすぐだ」
ドワーフが不機嫌そうに言いました。
9人が歩く先が、いっそう明るくなっています。
通路を抜けると、そこは地下とは思えない、広大な空間がありました。
ドワーフの里です。
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