第46話~第49話

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第46話 旅立ちの日



世界をひとつにする。

その使命を負った9人の出発を見送るのは、事情を知る国王と護衛の兵数名だけでした。


9人が最初に目指すのは、旅立ちの塔。

どんな試練が待ち受けているのかわからないまま、9人は朝の街道を歩きます。


ブラド「あー、荷物ないってほんと楽」


キャッツ「サリーさまさまだね!」


マリン「ねーねー、全員一瞬で塔まで運ぶ魔法とかないの?」


サリー「えっ、ごめん……そこまでは無理」


ジャンヌ「マリン、変なこと言わないの」


フィスト「気持ちはわかるけどねー(笑)」


ローズ「歩いて半日って言ってたから、途中でお昼ごはんだよね?」


マリア「うん。今日はお城でみんなのぶんのサンドイッチ作ってきたわ」


リーフ「マリアちゃんってほんと料理上手なんだね」


キャッツ「なんかさー、ピクニックみたいになってきたね(笑)」


ブラド「ま、楽しくないより楽しい方がいいじゃん」


ジャンヌ(どうしよう…………楽しい)


サリー「あの、ジャンヌちゃん?」


ジャンヌ「ん?なに?」


サリー「その鎧とか、剣とか盾とか、重くない?私、魔法で小さくして運ぶよ?」


ジャンヌ「あ、これ?大丈夫!私の役目は、多分戦うことだし、いつ魔物に襲われるかわからないでしょ?それに、これもトレーニングになるしね」


フィスト「相変わらず、すごいね。徹底してる」


ローズ「ジャンヌちゃんって努力家なんだね」


キャッツ「ねーねーサリー、私たちを小さくして運ぶことはできないの?」


サリー「ご、ごめん、無生物しかできないの」


ブラド「それだとサリーだけが歩くことになるでしょうが」


マリア「それはかわいそうよねー」


マリン「キャッツはジャンヌちゃんと大違いね」


キャッツ「うっさいわね」


サリー「あ、でも生き物はダメだけど、死んだ後なら小さくできるよ?そのときはするね♪」


キャッツ「……そ、そう?ありがと……」


ローズ「よかったね!キャッツちゃん!」




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第47話 旅立の日のランチ



マリア「みんな、そろそろお昼にしない?」


キャッツ「さんせー!」

マリン「さんせー!」


ブラド「あー、めっちゃお腹空いたー」


ジャンヌ「結局、午前中で魔物に襲われたのは一回だけだったね」


フィスト「襲われたのはね。それ以外の時間も、ジャンヌはずっと気を張りっぱなしだったでしょ?お昼ごはんのときくらいゆっくりしよ。私が周り見とくよ」


ジャンヌ「うん、ありがとう」


リーフ「魔物とか初めて見たからビックリしたー。あんなにおっきいアリとかいるんだね」


ローズ「ねー!本で見たことあるけど、直接見ると怖いよね」


キャッツ「でっかいアリの隣に同じサイズのアリクイもいたのは笑ったねー」


ブラド「『お前そのアリ食べへんのかい』言うてね(笑)。アリクイやろ(笑)。お腹いっぱいなるやん(笑)」


サリー「やめてーそんなの聞くとお腹減ってくるー」


マリン「そ、そうなの?変わってるね……」


マリア「じゃ、あの辺の木陰にしよっか。サリー、レジャーシートとアウトドア用のローテーブル、出してくれる?」


サリー「はーい」


ジャンヌ「…………」


フィスト「この先どうなるかわかんないけどさ、この9人なら、なんとかなりそうだね」


ジャンヌ「うん……(楽しい……)」




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第48話 食べ物の話



マリア「今日のお昼はミックスサンドです!ツナと、ハムチーズと、タマゴの3種類あるよ!」


キャッツ「すごーい!」


サリー「おいしそー!」


ジャンヌ「大変だったでしょ?ありがとね」


マリア「ううん、楽しいから♪」


フィスト「すごいよね、立派な特技だよ」


マリア「そんなことないよー!あ、リーフは野菜だけよね?こういうのは食べられる?お肉の代わりに、豆を茹でて濾して、小麦粉と混ぜて固めて焼いてみたの。お肉がない分、ボリュームが足りないかなって思ったんだけど、どうかな?」


ブラド「いやすごすぎ」


リーフ「ありがとーマリアちゃん!嬉しい!」


ローズ「リーフはなんで野菜しか食べないの?宗教上の理由?」


リーフ「い、いや、宗教とかはないんだけど、エルフの体は、動物を受け付けないの。それだけだよ」


フィスト「まあ人間も人種によって消化酵素とか分解酵素に違いあるみたいだしね。人間とエルフとじゃ違ってて当たり前か」


キャッツ「そっかー、なんか、草食動物みたいね」


ローズ「ひど(笑)」




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第49話 特技・料理



ジャンヌ「…………」


フィスト「…………」


サリー「…………」


マリン「…………」


ブラド「…………」


ローズ「…………」


キャッツ「…………」


マリア「ど、どうしたの?おいしくなかった?」


リーフ「…………」


キャッツ「めっちゃうまい!なにこれ!」


マリン「なんでサンドイッチがこんなにおいしくなるの?」


サリー「おいしい……」


ローズ「おいしいねー♪」


ジャンヌ「不思議……ほぼ素材そのまんまじゃないの?サンドイッチって」


フィスト「どうやったの?これ」


マリア「どうもなにも……そのまんま。マヨネーズはちょっと変えたかな。マヨネーズに少しだけカラシと砂糖と黒コショウ混ぜて……あ、リーフのにはマヨネーズ入ってないからね!」


リーフ「うん、ありがとう。ほんとおいしい。優しい味がする」


ブラド「それよ!それ!マリアの優しさが詰まった味よ」


サリー「……わかる気がする」


マリア「えー、そうなの?喜んでもらえるのは嬉しいけど、そんなにかなぁ」


ローズ「シスターの優しさだねー」


フィスト「でもさ、マリアがいなかったら、誰ができた?」


マリン「私は一応作るけど、こんなに栄養バランスとか考えられない」


リーフ「確かに……私のことも考えてくれて……ひとりだけ食べられるもの違うなんて、めんどくさいだけなのに……」


ジャンヌ「ちゃんとした食事を確保するっていうのも、旅にとっては欠かせないスキルよね」


ブラド「頼りにしてるよー、マリア」


ローズ「軽い(笑)」

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