第33話~第40話

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第33話 王の間で

(全員)



王の間に入った9人は国王から、虹色に輝く箱について聞かされました。

それは「キューブ」と呼ばれ、かつて空にあった虹のカケラだといいます。


大昔、世界をひとつにするための架け橋、虹を神様がつくりました。

しかし争いが絶えない世の中を見て、神様は嘆き悲しみました。

そして神様が落とした涙が、空の虹の上に落ち、虹を砕きました。


虹のカケラは空を漂い、いつか世界をひとつにする人に届けられる、といいます。

そして今、9人の少女が虹のカケラに選ばれたのです。


国王は9人に「虹の騎士団」の名を与えました。

虹をよみがえらせて世界をひとつにするため、「虹の騎士団」は旅に出ることになりました。


国王は9人に1枚の地図を渡しました。


それは「魔法の地図」と呼ばれ、地図にキューブをかざすと、次の目的地に光が差します。

このとき、次の目的地になったのは、城から歩いて半日の場所にある「旅立ちの塔」でした。


城を出てからは、9人で旅をしなければなりません。

世界をひとつにするため。

虹をふたたび、空に架けるため。

9人の首から下げられたキューブは、静かに七色の光をたたえていました。




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第34話 王の間を出て

(全員)



国王「ということで、みなさんが旅に必要なものは、城下町のお店であれば、好きに手に入れてください。店にはあとで国から支払いますので」


ジャンヌ「ありがとうございます。失礼します」


8人「失礼します」


パタン


ジャンヌ「あぁぁ~緊張したぁ~」


フィスト「おつかれ、ジャンヌ」


ブラド「お買い物だってー!ワクワクするね!」


サリー「はい!」


リーフ「どんなものが売ってるのかな?」


キャッツ「そっか、町で買い物するのが初めてって子もいるのね」


ジャンヌ「じゃあ、3人組に分かれよう」


マリン「ここの城下町に慣れてる人も分かれた方がいいよね」


ジャンヌ「そうね。サリーとブラドとリーフが、町が初めてなのね。それじゃあ……」


1組目:軍団長ジャンヌ・トレジャーハンターキャッツ・魔法使いの弟子サリー

2組目:近衛兵長フィスト・シスターマリア・吸血鬼の姫ブラド

3組目:貴族の令嬢ローズ・冒険家マリン・エルフの娘リーフ


キャッツ「3組目に不安を感じるわ」


フィスト「大丈夫よ、ローズは一応貴族なんだから、城の周りには来た事あるでしょ」


ローズ「大丈夫!任せて!」グッ


マリア「頼もしいね」


ブラド「そうかなぁ」


ジャンヌ「それじゃあ、5時間後の、夕方6時にここの城門前に集合ね!」




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第35話 買い物 その1

(ジャンヌ・キャッツ・サリー)



キャッツ「じゃ、こっちのチームは出発ね!で、何から見る?」


ジャンヌ「とりあえずサリーの行きたいところに行こう、時間はあるんだし。で、私とキャッツは寄りたいお店があったら声かけるから、まずはサリーの好きなように歩いてね」


サリー「うん!ありがとう!じゃあ、まずはあのお店!」タタタッ


スタスタスタ


キャッツ「ジャンヌは何か買わないの?」


ジャンヌ「んー、旅って言っても私の仕事は多分戦闘になると思うの。だから、今ある武器と防具で十分よ。使い慣れたもの使いたいし」


キャッツ「なるほどねー」


ジャンヌ「キャッツは?」


キャッツ「そうねー、あたしはせっかくだから、身の回りのもの一式、買い換えたいなー。ダガー、マント、ブーツ、バッグ、ロープ……こんなに、いいのかな?」


ジャンヌ「い、意外にまじめなのね……よっぽど無駄に高級なものじゃなければ、いいと思うよ。必要なものなんだから」


キャッツ「ほんと!?助かるわー。普段使ってるやつって結構傷みが激しいのよ」


ジャンヌ「遺跡なんか出入りしてたら、そうでしょうね。武器はダガー以外に何使うの?」


キャッツ「ロープとかかな、遺跡によくある侵入者対策の中には、機械仕掛けのものとかもあるから、そういうのはロープで動きを止めちゃった方が確実だからねー」


ジャンヌ「すごいね、頼もしいわ」


キャッツ「軍団長がなに言ってんのよ」


サリー「これもほしいなー♪」




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第36話 買い物 その2

(フィスト・マリア・ブラド)



フィスト「じゃ、どこ行く?」


ブラド「ちょっとごめん……日差し、強い……とりあえず……日傘買って……」


マリア「そ、そうよね!じゃあまず私が買ってくるから、そこの日陰で待ってて」


ブラド「ありがと~マリア~!優しすぎ~」


フィスト「ほんと優しいよねー」


ブラド「フィストは優しくないのー?」


フィスト「優しいに決まってるでしょ?とりあえずニンニクと十字架買ってきたげる」


ブラド「うわ最悪」


フィスト「あれ?でも、マリアってシスターじゃん。マリアが持ってる十字架は大丈夫なの?」


ブラド「あれはいいのよ、できるだけ見ないようにしてるから」


マリア「おまたせー」


ブラド「あ、マリアおかえり~」


フィスト「お店近かったんだね」


マリア「うん」


フィスト「ところでマリアは、吸血鬼とかはいいの?退治しなくて」


マリア「え!?ええ、そうね。別に、神の教えに背く悪い存在ではないし」


ブラド「わかってるねー、マリア様」


フィスト「私だってわかってるわよ。エルフも吸血鬼も、人間とよく似たいち種族でしょ」


マリア「ブラドは魔術とか使えるのよね?」


ブラド「血が薄くなってるからね、夜中にコウモリに変身したりはできないよ。使い魔呼ぶくらいかな」


フィスト「へー、すごい。さすがお姫様ね」


ブラド「家来にしたげよか?(笑)」


フィスト「いらん」


マリア「仲良いわねーふたりは」




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第37話 買い物 その3

(ローズ・マリン・リーフ)



マリン「さ、どっから行こっか」


ローズ「こういうときは、こっち!」スタスタスタ


リーフ「はい!」スタスタスタ


マリン「リーフ、気をつけて。ローズの行動は無批判に受け入れちゃダメ」


リーフ「え!?そうなの?」


ローズ「いや!大丈夫!」グッ


リーフ「ほら、マリンちゃん……こんなにハッキリ言ってるよ?」


マリン「……じゃあ、ローズ、どこに行くつもりだったの?」


ローズ「こっち!」


マリン「なんで?」


ローズ「こっちはアクセサリーとか洋服とか、可愛いものがたくさんある場所なので、後に回すと疲れで衝動買いしてしまうから、今のうちに行くのがいいよ!」グッ


リーフ「……」


マリン「わかったでしょ?ハッキリしてるのは言い方だけで考え方ではないのよ」


リーフ「う、うん」


ローズ「ひどい(笑)」


マリン「まずはさ、時間の使い方決めようよ。だいじなことだよ」


リーフ「な、なるほど」


ローズ「たしかにー」


マリン「でね、5時間後集合だから、最後の30分は予備に取っとこう。残りを3人で割ると、1時間半ずつよ。リーフはお買い物に慣れてないみたいだから、私とローズのぶんを先にして、そのあとリーフのお買い物にしましょ」


リーフ「さんせー」

ローズ「さんせー」




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第38話 魔道具の店

(ジャンヌ・キャッツ・サリー)



サリー「すみませーん!これとこれと、あとこれもください!」


キャッツ「浮遊石の結晶、ムラサキハッカの香油、乾燥マンドラゴラか、結構品ぞろえいい店だね」


ジャンヌ「キャッツ、詳しいんだね」


キャッツ「いろんなところの遺跡とか回ってるからね、危ないものは避けられるように最低限の知識は必要よ」


ジャンヌ「へー、すごい」


キャッツ「たとえば、そのマンドラゴラって、植物なんだけど、根っこの部分が人の形してるでしょ?」


ジャンヌ「あ、ほんとだ」


キャッツ「根っこは薬草としてとっても優秀なんだけど、地面から抜くときに、根っこが悲鳴をあげるんだって。で、それを聞いた人は死ぬらしいよ」


ジャンヌ「なにそれこわい」


キャッツ「あとその浮遊石は別名『飛行石』って言って、大昔には天空に都市を浮かべたりしてたそうよ」


ジャンヌ「なるほどね……この先の旅では、そういうのを使いこなせる力が必要よね」


サリー「ふたりとも、ありがとー!買い物終わったよー」


ジャンヌ「サリー、頼りにしてるよ!」

キャッツ「サリー、頼りにしてるよ!」


サリー「??」




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第39話 道具屋

(フィスト・マリア・ブラド)



フィスト「まぁ、こういうオーソドックスな道具屋を、まずは見ないとね」


マリア「それにしても……旅に必要なものって……なんだろう?」


ブラド「私もマリアも家からあんまり出ないもんねー(笑)」


フィスト「やっぱり長旅には美味しくて体にいいご飯でしょ」


マリア「なるほど!それなら任せて!料理は得意だから!」


ブラド「そうなの?」


マリア「うん、孤児院で子どもたちのご飯をたくさん作ってたから」


フィスト「へぇ、すごいんだね」


マリア「煮たり炒めたりができるお鍋があるといいな……これなんか小振りで軽いからいいかも……火起こしの道具もいる……あとは組立式のテントと寝袋人数分……」


ブラド「そっかぁ、いつでもレストランでご飯食べたり、宿屋で寝たり、できるわけじゃないもんね」


マリア「お皿とコップにフォーク……包丁はキャッツのダガーを借りようかな」


フィスト「キャンプガチ勢みたいになってきた」




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第40話 旅の助言

(マリン・ローズ・リーフ)



リーフ「やっぱり旅慣れてるマリンちゃんにいろいろ教えてほしいなぁ」


ローズ「私もそう思う(笑)」


マリン「えぇ……なんかガラじゃないんだけど」


リーフ「じゃあさ!今の私たちを見て、旅をするのに足りないものってなに?」


マリン「あー、そうね……リーフは、動物と話したりするなら、動物が好きな木の実なんか、まとめて買ってた方がいいかもね。あと、エルフのとんがり耳を町中で隠したいなら、フード付きのマントなんかどう?」


リーフ「す、すごい!やっぱりすごいよマリンちゃん!」


マリン「い、いや、そんな……で、ローズは……」


ローズ「うん!教えて!」


マリン「そのドレスみたいな服、確実に汚れるわよ」


ローズ「あ、そっか!」


マリン「だからまずは」


ローズ「洗剤!」


マリン「着替えるのよ!!」

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