PART8 さて、それから・・・・
それから三日後。
23:30分。
俺は報告書と格闘し、やっと書き終えた。
しかし何度やっても、
おまけに今回は警察絡みだからな。
依頼人と警察、二種類必要になってくる。
依頼人への方は、いつもと同じ形式で構わないが(英語で書かなきゃならないってのが、厄介だったが)、警察への方は、役所だけあって形式に
面倒だが、法律で決まってるんだから仕方がない。
あとは切手を貼って、一方はポストに放り込み、もう一方は最寄りの警察署に持って行けば良い。
その作業も何とか終え、いつもの儀式・・・・一番下の引出しから、”ワイルド・ターキー”のボトルとグラスを出して注ぎ、一口。
そこで、電話が鳴る。
案の定、”大兄”氏からだ。
”有難う、お陰で助かった”
心の底からほっとしたようだった。
あの後、例の”外国人武闘派団体”とのもめ事は何とかカタがついたそうで、
”それもこれも、全部君のお陰だ。礼も兼ねて、謝礼にイロを付けさせてもらった。いや要らんと言われるかもしれないが、是非受取って貰いたい”
そこまで言われちゃな。
断るのも悪いだろう。
『まあ、それじゃ、有難く受け取っておくよ』
俺は笑いながら、バーボンをまた
最後に、
”有難う。本当に助かった。”と、同じセリフをまた繰り返して電話を切った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌々日、午後、秋晴れのいい日だ。
俺は洗濯物を干し終え、ネグラの外のテラスで、デッキチェアに寝転がりながら、午前中に届いたばかりのエアメール(くどいようだが、俺はネットもやってない。従ってメールもやってない)を眺めていた。
差出人はアルファベットの筆記体で”Rin”とあった。
中身も便箋一枚に”アリガトウ”とカタカナでしたためてあり、同封されていた写真は、あの”スーパー・ヒロイン”に扮した彼女が、足元に二つのトロフィーを置き、銀のコルトをお決まりのポーズで構えていた。
ただ、心なしかその顔には、まだ不満そうな色が見える。
まだ彼女のご機嫌は直っていないわけだ。
俺は傍らのウッドテーブルに置いたハイネケン(たまにはビールだって呑むさ)を一口、頭の上に乗せていた中折れで顔を隠し、午睡としゃれこむ。
終わり
*)この物語はフィクションです。登場人物、場所その他につきましては、全て作者の想像の産物であります。
ヒロインはご機嫌ナナメ 冷門 風之助 @yamato2673nippon
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