第23話帝国に備えて




数日の間、作戦本部では帝国に対してどう対処するか話し合っていた。

あとから来た領主らには、沖合いに船が数多くいる動画が映し出され、場面が変わり船内を隠し撮った動画を見せらる事になった。

衝撃的な事実を知って話し合いは、意見や主張などが対立してもつれることもあり。

本部内もヒートアップする場面が多々出始めた。

領主にもさまざまな理由によってまとまらない状態におちいり紛糾ふんきゅうをしていた。


当面はリクート国に接する領土2つに、砦の強化と【火砲】を10門ずつ送ることになった。

その為に【火砲】を作ると言って、俺はそこから退出。

その際に王子から【火砲】の製造を見たいと、会合中に言われ国王もいたく感心して、視察官の名目で行かせることになった。

断る訳もいかず、王子を伴ない退出した訳だった。


「トニー・サルトス、ここは早く行くべきと思うがどうかな?」


「ごもっともな意見です」


「ならば、ヘリで早急に行った方が良いと思うがどうかな?」


「しかし、王子の護衛が乗せられません。あいにくあれは2人乗りです」


「護衛長、馬車で来れるな」


「はい、しかし王子は乗りたいだけでは」


「何をバカなことを言う。国の行く末を考えての行動だと分からぬか?」


「はは、それではわたし共は馬車の準備に向かいます」


しかたなく王子を隣に乗せて、飛び立った。

俺の領土に付くまでに、あれは何だこれはどんな意味があるのだと煩くて仕方が無かった。


そして、【火砲】工場のヘリポートに高度を下げつつ着地。

迎えに来ていた工場長に王子をたくし、空に舞い上がり漁村だったミラー湾岸都市にスピードを上げて向かう。


上空から見下ろすミラー湾岸都市は、白を強調した建物が並び海の青さとマッチして美しい町並み変ぼう。

そして貿易を一手にまとめる貿易商館屋上のヘリポートへ高度を下げた着地。

貿易商館の館長との話し合いで、館長が集めた帝国の情報を早急に王都へ送るよう頼み。


急ぎの用事の為に軽装甲機動車を出して、港内まで走らせてゆく。


ミラー湾岸都市が俺が異世界より購入した様々品を、ここから他国へと輸出している。

その貿易利益は莫大で、そして情報も入ってきていた。

帝国は東の大陸の1つの国であることが最近の情報で分かってきていた。

我が領土が貿易している国は、主に西と南が大半を占めている。

東は我が国を通る為、貿易を控えていたのが現状。



湾内に到着すると工場長が出迎えてくれていた。


「工場長、湾内の深度は充分にあったのかな?」


「確認済みです」


「ヨシ、でかい船を出すぞ」


「バシャーン」


湾内に高い波が急に発生。


「なんと言うでかさ・・・驚きました」


「早速だが魔改造をするぞ、例の物は持って来ているか?」


「持ってきています。皆!例の物をこの船に搬入するぞ」


湾内にあるのは、スクラップ寸前の空母。

格安で売られていた物を購入。


全長       210m

全幅       36m

排水量      (基準/満載) 16,000t/20,500t

最大速力      28ノット

機関       ロールス・ロイス オリンパス ガスタービン×4基 

         出力 24,250hp

レーダー     捜索レーダー×1基 航法レーダー×2基 

         長射程対空レーダー×1基

火器管制レーダー 火器管制レーダー×2基

ソナー      船底装備式ソナー×1基

艦載機      20機


最新鋭だった空母も時代が変われば、設備も最新鋭に比べるべきで無くなっていた。

そしてこの空母は、敵国の販売が厳しく禁止されていたが、流石に俺はOKであった。


そして空母の機関部を魔改造式電気モーターに交換する為、今から作業が始まる。

ここまででかいドックは建築出来なかったが、将来は作る予定だ。


目の前でガスタービン4基が船内から切り離されている。

1基目が完全に切り離された為、ボックスに収納。


しばらくはここに付き切りで作業を手伝わないと、早く改良は出来なさそうだ。


この空母は動かす為に700名も人が携わる必要があるが、魔改造してもっと人員を減らす予定。

因みに航空要員だと366人も必要。



電気施設は魔石による供給に置き換わる予定。

それにともない魔道具もどしどしと搬入され、色々な機器に取って換わる作業が今も行なわれている。

そして最大の武器である【火砲】も強化される。

砲身を長くして直径も大きく変更され、それに耐える金属を異世界から購入。

加工する為に新たな機械加工機を複数を購入され、今でもその機械を使って加工中。

それによって射程距離が更に伸びて、着弾時の威力も強化されると予想。



あ!上で何やら騒がしくなってきたので、デッキまで上がってみると大型有人ドローンが所狭しに着地しているではないか?

明日来るように連絡して置いた筈なのに、伝達で手違いが有ったのだろうか?

目の前の物はドローンの構造を真似て、大部分は魔防具で魔改造しているが、制御部分はドローンから転用している。


この隊の隊長だろう人物が俺の所へやってきて、敬礼をする。


「ドローン隊ビランダ中尉、着艦しました」


「わたしは、明日くるように言ったのだが何故来ている」


「完成されたドローン機を早くお見せしろと命令を受けてきました」


「来た者はしょうがないが、寝る所は準備出来ているか分からないぞ」


「それは、各自で行います」


「そうか、なら頑張って準備してくれ。これが見取り図でここが寝るスペースだ」


空母は体験すれば分かるが、初めての人間は迷子に必ずなるとあるあるの話しであった。


「はい、ありがとうございます」


そう言って沢山の荷物を持って、整列している部下に何やら命令をしている。


本当は艦載機の購入も考えたが、中古でも高いしスクラップ寸前の1機を購入。

構造が思っていた以上に複雑、修理することが出来なかった。燃料もバカ高い。

それにまして着艦・発艦をこっちの人間に安易にできるものでない。

それは動画を見て即ダメだと判断。


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