第22話ヘリの空中移動




オーク討伐に参加した隊員達は、泣いて抱き合い、また喜び合っている。

俺は隊員を労っている最中に、後ろか大声で叫ぶパイロットに気付く。


「領主さま、大変です。サイラス貿易港の沖合いに又、帝国がやって来たと電信を受けました」


「給油は済ませたか?」


「満タンです」


「アッキー、帝国が又来たそうだ。先に行くから後から来るように」


「懲りずに又、来たのですか?皆にも言っておきます」


俺はヘリに乗り込み、空高くに飛び立った。




復興も半分が終わり、残りの壊れた家々が見え出している。

復興された場所に、目立つ建物にヘリは近づきホバーリングをして徐々に高度を下げる。

サイラス貿易港のヘリポートに降り立つと、迎えの商業大臣ケランと護衛兵数人が見守っていた。


「帝国の動きはどうなった」


「150隻が来ましたが、50隻はこちらの【火砲】によって撃沈したそうです」


「やはり射程距離と命中率に差が出たか?」


「目に見えて効果が出ています。まだ沖合い100隻が停泊中ですが?」


「作戦本部は例の所に作ったか?」


「はい、国王と宰相を含めて10人が集まっています」


「それでは行こうか?」


このヘリポート下が作戦本部で、ビル5階建てで耐震に優れたビルであった。

作戦本部に入ると、皆驚きの顔でこちらを見ている。


「国王様、只今トニー・サルトスが参りました」


うやうやしく礼をのべる。


「おおお、そちは早くないかな・・・」


「何時来ても、すぐに参上出来るように準備しておりました」


「そうか・・・先程、上で音がしていたが、何か有ったのか?」


「空を飛べる乗り物でやってきました」


「空を飛べるだと、それはまことか?」


これは、実際に見せないと納得しないと感じた。


「それでは、屋上に上がりお見せしましょう」


「そうだな、それが早いだろう」


屋上のヘリポートに驚き、真ん中に止まっているヘリに注目が集まる。


「あれが2人乗りのヘリです」


「あれが空を飛ぶのか?重たそうな物だが飛べるのか?」


「それでは誰か乗せて飛びましょう」


「ならばワシが乗ろう」


「王様、大丈夫でしょうか?控えている兵を乗せた方が良いと思います。もしもの事をお考え下さい」


「宰相、心配するな。オーク殺しのトニーが居るのだから」


どうも俺が運転して乗せるしかなさそうだ。



国王の要望で沖合いの100隻の上空を飛び回って見せた。

国王は「おお、凄いぞ凄いぞ」の連発で目に輝きがやどっていた。


ヘリポートにもどって来た時は、王子も乗りたそうな顔で俺を見続ける。

俺は気付いていないふりをして誤魔化す。



作戦本部では20人も増えていた。

宰相が前に出て、


「時間もない事なので、大まかな作戦会議を行なう。トニー・サルトル公爵、頼んでも良いかな」


「ありがとう御座います。それでは説明します。このモニターを見て下さい」


巨大モニターに上空から撮った動画が流れている。


「何とこの絵は、見たままではないか?」


「絵が動いてますぞ」


俺は手で射程距離の範囲をなぞった。


「ここが我が国の射程で、帝国はその射程外で停泊しています。数は102隻です」


「すると前の作戦方法で戦うと言うのですか?」


「それも1つの作戦ですが、空からの攻撃も考えています」


「空から?・・・」


「それはどのような事ですかな?」


「わしから言っておく、空を飛ぶ乗り物が有るのだ」


「国王、何をおっしゃているのですか?」


又、見ていない人達を連れて屋上に向かう。

国王達も一緒に付いてくるので、皆が階段を譲りだした。

既に王子はヘリの横で待っていた。

その顔はワクワク顔で、俺を見続けるので、パイロットに手で合図をする。


パイロットがドアを開け、乗るように促した。

ヘリのエンジンが動き出し、プロペラが回りだすと風圧に驚きだす面々。


「飛びましたぞ、あの鉄の塊が?」


「なんとこれは驚いた」


又、作戦本部に戻ると、商業大臣ケランが緊急をようする報告があると言ってきた。


「帝国はイカリを上げて逃げる準備をしています」


宰相「それはまことか?」


「本当の事です。ヘリが船の上を飛び回ったのが原因です。それと隣国のリクート国が既に帝国に落ちました」


モニターに映し出された動画は、船の窓から覗いた映像で話し声も確りと聞き取れていた。

その会話には、将軍らしき人が空から攻撃でもされると打つ手がないぞと、怒鳴り散らしていた。

【火砲】は船を狙うか、射程内の街を狙うように作られていて、角度的に真上には向けない構造になっていた。


そしてリクート国の事にも話しが触れていて、帝国に落ちた事実を目にする事になってしまった。

いつ隣国から攻められるか分からない状況になり。

戦力を2つにわける状況にもなっている。


「リクート国は長年、良い関係を築いていたのに、宰相は何か聞いていなかったのか?」


「ここ2ヶ月程前から商人も来なく、おかしいと思っていましたが、そのような事態になっていようとは思いませんでした」


「至急、調べるように」


「畏まりました」



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