第16話勝てたのか




総攻撃の準備も整い。あとは攻撃の合図を待つばかり。


「攻撃は中止だ。国王の命令で領主は集まるように」


兵達に何事だと声が洩れる中、小高い丘の建物に集まると領主からも驚く声が広がる。

丘から沖合いの船が100隻以上が停泊していたのが見えた。


領主が揃う中、重い空気が漂っていた。

1人の領主が立ち上がり、激怒しながら帝国の横暴を指摘して怒鳴っていた。

国王がそれでどうすればいいと聞くと、黙り座るしかなかった。


その時にドアが急に開き兵士が飛び込んできた。


「何事だ!」


「使者がやって来ました。明日の朝に返事を待って居ると、降伏か死かの返事を決めろと言って去って行きました」


「・・・」


「ここはオーク殺しのトニーに任せましょう」



バレイ領主から直接、話しを聞き今夜、解決しますと答えた。

もう力を隠す段階を越えて、死ぬか生きるかの選択しかなくなった。

生きるを選んで惨めな生活は懲り懲りだ。


異世界通販で色々と探し求めて色々と購入。


彼女らを集め内密に話し合った。

議論をして大方の作戦は決まり、あとは夜を待つだけになった。



小型ボートで湾内の1隻に静かに近づくと、特殊な銃でパスパスパスと睡眠弾を打ち込んだ。

次にロープが繋がったフックを打ち上げて、引っ掛かった事を引張って確認。

俺が先頭に登ってゆき、乗り込むとサイレンサー付き拳銃を構えて警戒。

次々と全員が乗り込むと、手で合図する。

一斉に動き出す彼女らの後を追い。


眠り扱けている兵を後ろ手に結束バンドで締め付け、足も同じように締め付けてゆく。


船内でパスパスパスと睡眠弾を打ち込んだ。

しばらくして船内に入り同じように拘束する。

船内をくまなく探索し終わると船上に戻り、防毒マスクを外して新鮮な空気を吸い込んだ。


海上に居る見方の小型船にライトを振って合図。

俺らは縄ハシゴを下ろして、フックも外すと縄ハシゴで小型ボートに再度乗り込む。


これを同じように2隻に乗り込んでテキパキとこなしてゆく。

あとは沖合いの船だけ。


小型ボートのエンジン全開にして沖合いに進む。


96式40mm自動擲弾銃じどうてきだんじゅう

口 径  40×53mm

全 長  約975mm

銃身長  約454mm

重 量  約24.5kg(銃本体)

作動方式 ブローフォワード式

発射速度 約250~350発/分

初 速  約250m/秒

有効射程 約1500m

給 弾  リンクベルト式

弾 倉  50発入り

使用弾薬 40mm対人対戦装甲擲弾


備え付けられた自動擲弾銃で300メートルから船底を狙って撃ち込んだ。

暗視スコープで沈むの確認して次の船に向かう。


「わたしにも撃たせて下さい」


大人しいシランが言うとは思わなかったが、交代して撃たせた。

何事も経験が必要。


どうやら彼女らで既に順番が決まっていた様だ。


シランは慎重に狙って撃ち込んだ。

一撃で沈む船が真っ二つに割れて沈むのも凄かった。


夜明け前には、2~4隻は逃げたようだった。

湾内の船に時間を費やしたのが原因。

しかし湾内の船を沈めると湾内が使えなくなるので仕方ない。


今回の3隻の捕獲も、船の技術取得や火砲の技術取得が目的。

このまま何もしないと、また帝国は凝りもせずに来る恐れがある。

なので殺さずに捕まえた。

彼女らから中々の策士ですねっと言われる。




王都に凱旋した時は、戦勝気分で賑わっているが貿易港の被害を考えると、船3隻では被害に対してつり合わない。

俺はそんな風に思いながらバレイ領主の隊列後方に付いてゆく。


戦勝祝いの最後に、宰相が書面を見ながら高らかに言い放った。


「オーク殺しのトニー、今回の戦勝で王子を救出し、国も救出した。それに報いる為に報償で欲しい物はないか?」


「ありがとう御座います。わたしの望みは国中のくず魔石です」


王が立ち上がり、


「なんとそんな物でいいのか?我は感動した。そちを公爵こうしゃくに任命し、そちの村の西側を好きなだけ領土にする事を許す」


大広場で拍手が沸き、領主達は安堵した。



俺らが帰る道すがらジニーが色々と教えてくれた。

俺の村の西は魔の森に続きあとは山で、その山向こうに蛮族が住んでいると昔からの伝承。

そして公爵は、五等爵ごとうしゃくの一番上で、侯爵こうしゃく伯爵はくしゃく男爵だんしゃく子爵ししゃくと続くと教えられる。

今回は広大な土地を言葉で与えられたが、実質貰っていないのに等しい。

名前だけの名誉ある貴族の称号だけだと言われた。

領主らは土地を削られる恐れが無くなったので、今は喜んでいるとも教えられる。


そして国王も言葉だけでは悪いと思ったのか、村から近い漁村を飛び地として与え、捕獲した1隻も与えると書面で寄越した。

俺はありがたく受け取ることにしている。


俺はそれより嬉しいのが、王だけでなく他の領主もくず魔石を1ヵ月後に送ってくれることだった。

それが一番の褒美だと思っている。



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