第7話鉱山に行く




ギルドの窓口にケース2つをゆっくりと置く。

1つのケースを開け、狩って間のない状態のラックバードをカウンターに置く。


「中々良い状態ですね。余り匂いもしないし、これなら沢山の羽毛が取れますね」


書類に指輪の印を押すと金貨5枚を受取る。


異世界通販に収納されると、時間が止まった状態が維持される。

異世界通販が不思議な物なので時間が止まったぐらいでは余り驚かない。


次のケースからレッドベアーの胆のうを取り出し、カウンターに置く。


「これはレッドベアーの胆のうです。幾らで買ってくれますか?」


「レッドベアーの胆のうって本当なの、わたし見たことも無いので判定は難しいわ。チョッと待ってて」


奥の部屋に急いで入ると、しばらくして1人の男を連れてやったきた。


「これがレッドベアーの胆のうらしいです」


「どれどれ、ほう間違いない独特の匂いがそれも新鮮な色のままだね。君が狩ったのかい」


「ラックバード仕留めて、回収時に急に襲われ逃げながら仕留めました」


「ラックバードとレッドベアーを仕留めるなんて、君は幸運なんだね。胆のうは金貨7枚で買いなさい」


「分かりました。これが買取金額です」


金貨7枚を受取る前に、又も書類を渡される。

指輪の印を押し、金貨7枚を受取った。



我が家に戻ると早速、倉庫建設に取り掛かる。

資材は揃っている。土台も柱も既に立っている。

後は屋根のスレート張りと外壁の板張りだけ。

屋根のスレート張りは勉強したのだが、軽く安上がりで出来る素人向け。

セメントを主成分とする厚さ5mmくらいの薄い板のような屋根のことで、平べったい板の形状をしている。

昔の瓦だと素人には難易度が上がるらしい。

そして重く家の負担にもなるらしい。


リアル〇ールドを飲み、元気モードで作業を始める。

スレート張りを、説明文を見ながら屋根の上からやってゆく。

作業内容が分かれば、スピードも上がりアッと言う間に出来上がる。


外壁の板張りも家の修復をした事もあり、板も寸法通りに切られている。

思いのほか板張りの仕事がはかどり終わってしまう。

屋根のスレート張りと外壁の板張りだけで6時間程で完成。

資材は残す事は無く使い切った。


今日はこれで終わりにして、家の中で異世界通販を探索する。


見たことも無い商品が沢山あって、見ていて楽しいのだ。

そんな中で驚いたのが、【動物図鑑】で手に取って見ている。

巨大な象に驚くが、海にはもっと巨大なクジラいて自由に泳ぎまわっている。

そんな1日を、今日は過ごした。




今回はバーラーの町の鉱山で問題が発生。

鉱山にサラマンダーが現れ、鉱山の採掘がストップ状態で後の作業もストップしている。



その為に、俺ら冒険者24名が集められて鉱山に向かっている。

そこでは鉱物の選鉱や製錬などの鉱業活動を行い高い収益を上げている。

バーラーの町の主要産業。そしてバレイ領主の収入源。


その為、慌てた町の執行官は急いでギルドへ依頼を頼んだ。

バレイ領主に報告して騎士団の派遣まで、最低でも10日は掛かる。

その間の収益の減少を考えれば、ギルドに頼んだ方が安上がりだと判断。


ギルドは今回の討伐隊を編成する為に、召喚で短期間に人を集めた。

俺なんか、家で色々なことをしていたのに、サニーさんが呼びにきて仕方なく参加。


解決した日数で収入が変わるからだ。

この集団を仕切るのが、ギルドのサブマスター見習いのライカ。

最近バレイ都市のギルドから派遣された職員で、何か問題を起こしたらしい。

来てすぐに悪い噂しかない人物。


俺は世話になった雑貨商のバードおじさんの隣で座って鉱山に向かっている。

バードおじさんも鉱山へ行く前日に止められ、俺らと同行させられている。


「トニー、最近活躍しているそうだな」


「これもおじさんのお陰ですよ」


「そう言ってくれるとありがたい。それにしても変わった弓を持っているね」


「これは、流れの商人を助けたお礼に貰いました」


「そうかそうか、商人を助けたのか?」



夕方に鉱山にようやく着いた一行は急いだせいで、馬は相当疲れている。

俺はバードおじさんの手伝いで、荷物の食料を降ろして鉱山の人と話していた。

この食料で鉱山の15日分。本当は10日分で良かったが討伐隊の分が入っている。

ライカは明日か明後日までに討伐すると息巻いて手が付けられない。




朝早くから斜面のキツイ山を登る一行。

ライカは後方から、ああだこうだと命令をしているが、皆は命令に従った振りをしている。


2体のサラマンダーが寝そべっているのを発見。

緊張している一行。

ライカは何も作戦もなく「早く倒せー」と怒鳴っり出した。


その声で目覚めたサラマンダー。

俺らを睨み、1体だけが駆け下りてきた。

一斉に槍で突き刺すが、前足で槍を振り払いダメージを与えていない。

サラマンダーの口から炎を吹き出す、慌てて後退する冒険者。

炎は1メートルも達して近づも熱い熱風に晒される。


俺は人に当たらない位置に移動。

コンパンドボウを構え狙いを定めて矢を射る。

まぶたが下りた瞬間に右目に命中。

浅い傷だが緑の血を流してもがきながら「ギャーァ」と鳴きだす。

もう1体が目覚めて駆け下りてくるが、俺の次の矢が正面から右目を射抜き息絶えた。

もう1体は冒険者の槍で囲うようにして突き刺され死んだ。


目撃情報も2体だったのでこれで終わりだと誰も思った。

ライカが鉱山の穴も居るかもしれないと言い出した。

昼過ぎまで探索したが居なかった。

皆ぶつぶつとぼやき出したが、ライカは素知らぬ顔でいる。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る