第4話ブラックウルフを狩る




ラニー池を見下ろす小高い丘に、準備を整えた俺がいる。

背中の矢入れには、20本のカーボン矢が入っている。

地面には予備の20本のカーボン矢が置かれ、合計40本が使える状態。


200メートル内には、21体のブラックウルフが寄せ合っていた。

風は無風で矢を射る条件はよい。


2缶のリアル〇ールドを、ごくごくと飲み干し元気な状態にする。

体が充実して、ブラックウルフがはっきりと見える。


コンパウンドボウを構えて、照准器を覗き込む。

最初のこの瞬間が、緊張のピークに達するが、その緊張を鎮めて行く。


まずは集団から離れたブラックウルフを狙い定めて矢を射る。

首に見事命中。次の矢をセットして矢を射る。

そして次の矢をセットして矢を射る。

ようやく異変に気付きだすブラックウルフ。

それでも矢を射ることは止まらない。


地面には12体のブラックウルフが倒れている。

大きなブラックウルフが必死に向かってくるが、50メートル先で矢で射止めた。

残りのブラックウルフは逃げ去っていた。


コンパウンドボウや矢入れと矢をボックスに収納。

ナイフと麻袋を持って駆け出した。


ボスのブラックウルフをテキパキと毛皮をはぎ、胆のうを傷つけないように取り出し腰袋へ入れる。

魔石を取り出し異世界通販へ加算して、金額が増えたことを確認。


次の現場へ向かって再度走り出す。

異世界通販で購入した腕時計では、5分内に毛皮はぎが終了。

元気な俺は、作業するのも早い。


ようやく作業は終わり、3つの麻袋には毛皮が詰め込まれている。

ワゴンを取り出し、麻袋をポイポイポイと載せてゆく。


「さあ!バーラーの町に帰るか?」


矢を射る最中にレベルが2も上がり、今はレベル7に成っていた。

このレベルだと一人前の冒険者と認められる。

数日前までレベル1で必死に、採取していたとは信じられない思いだ。

なんだか自分自身に感動して、涙が出てきた。


2年前に冒険者を諦めた時以来の涙。

あの時の涙と違うのだと、自分自身に褒めてやる。

そうしないと誰も褒めてくれそうに無いからだ。



防具店で13枚の毛皮を20000ギーで売った。

大量の毛皮だと値切られてしまった。

向こうも商売で大量の素材を抱え込む為、仕方ないのだろう。

当分は売るのも諦めるしかない。


今度はギルドにやって来た。今の時間帯はギルドは静かだ。

夕方は人声の多さに、誰が何を言っているのか分からないレベル。

それが今は静まり返ったギルドで、俺は好きだ。


「胆のう11個を持ってきたよ。1個はおまけでいいよ」


「え!もう済んだの」


袋に入った胆のうを調べて頷いた。


「良い状態の胆のうね。はい、これが報酬の100000ギー」


金貨1枚を受取る。

俺自身見た事はあるが触った事は無い。

案外1枚でも重い金貨を見詰めてしまう。


「トニーは、いつ強くなったの」


「数日前だよ」


「へーー、そうなの」


俺はギルドを出ると、宿屋に向かい歩きだした。

宿屋に着くと、マリーおばさんが居たので、


「早いけど部屋にいってもいいかな?」


「掃除も済んだしいいよ。ほれ鍵だ」


鍵を受取って部屋へ行く。

この部屋は10日分を前金で払っている。

だから早めに部屋へ入れる。


早速異世界通販を開く。

今回は狩りで走っていて、サンダルが脱げそうになった。

それに変わる物が欲しい。



【はき物】で検索。

ずらっと並ぶ中で【安全靴スニカータイプ】4142円を選んだ。

説明では、靴先に鋼板が仕込まれていて固いそうだ。

魔物を蹴り上げれば、相当なダメージを与えるだろう。

そして小さな穴が沢山開き、通気性が優れているらしい。

それと踵部分かかとぶぶんが衝撃吸収をしてくれる。


それにしても異世界は、靴のサイズが細かく決められていて、巻き尺で測る羽目になった。

この巻き尺も異世界通販で買った物だ。


早速はいてみる。

この紐を締め付ける事で、脱げなくしていて足を包み込んでいるのか?

案外軽くはき心地が良い。


次は腕を守りたいので探してみる。

【腕の保護】で検索。

そしてバイク用で良さそうな物があるみたいだ。

【腕の保護 バイク用】で検索。

そして【強力ステンレス鋼バイク用肘ガード・膝スネガード】6200円を選んだ。

ついでに【バイク用ボディアーマー】33746円も選んだ。

これをここに差し込むのか?パチパチと成る程、上手く巻き付いて固い部分も頑丈に出来ている。

特に強力ステンが鏡のようにツルツルでいい。


見た目ががっしりしていて、説明文通りに衝撃に強かった。

木の椅子相手に肘打ちや膝蹴りをかましたが、全然痛くない。

けれど椅子が壊れてしまい、明日マリーおばさんに謝る必要が出てきた。



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