第04話「最後のわがまま」
すこしの読み込みのあと、スマホの画面に表示されたサブタイトルは「最後のわがまま」。
クライマックスゆえだろう、オープニングをすっとばして
空間に開いた黒い穴から出現する帝国兵たちの、ボディにフィットしたヒーロースーツっぽい全身鎧。
敵ながらになかなかカッコいいこれが「
設定がなんだか
「……は?」
などと勘繰る中、作中で明かされた衝撃的な事実に、私は思わず声を上げていた。
この魔鎧、エリシャの父親がダンケルハイト家の秘法を帝国に漏洩させたことで開発されたものだという。
ますます彼女の立場が悪くなるばかりじゃないか……。
あ! でもそれ、特撮なら絶対に、こちら側も同じ技術で「変身」して反撃する展開じゃない? 会場に偶然まぎれこんでいた、空気読めないけど勇敢な青年とかいないのかな!?
……けれど、
今さら都合のいい
そう、エリシャの命は、
──やがてついに、帝国兵どもに取り囲まれたエリシャ。
彼女は凛々しくも誇り高く、彼らに従うことを拒絶する。
激昂する帝国兵たち。
そして場面は暗転し、柔らかいものが踏みにじられる惨たらしい効果音が響いて、赤い液体のエフェクトが画面いっぱいに散った。
『これが、私の最後のわがままです。何があっても絶対、あなたは幸せになりなさい……』
すがりついて泣く、性格よし子な
そのまま映像は流れるように、エンディング曲へとつながっていく。
スライドショーで映し出されていくのは、エリシャとマリカの想い出シーンのようだ。
「……っ……そんなの……」
私は、不覚にもボロボロに泣いていた。
ぶっちゃけ、特撮以外のフィクションで涙を流したのは初めての経験だった。
これまでどんなに難病のヒロインにも、けなげな動物たちにだって屈したことのない私の涙腺が、すっかり決壊していた。
そうやって泣き疲れ、いつの間にか眠りについた私は──翌朝、見たこともない豪奢な部屋の巨大なベッドで、就寝前に泣きながら感情移入したエリシャ・ダンケルハイト当人として、目覚める。
──これから訪れるであろう、自分自身の
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