第21話 最悪の事態

「みんな待たせたな。」


私が食堂に入った時、みんなの視線が集まった。


やっぱりこれ、かなり恥ずかしい。


私は椅子に座り出てきた料理を食べ始める。


それを合図に夫達も食べ始めた。


「ベル、今日、お客さんが来るから。」


「客?」


私に話しかけてきたのは、ウェバーだった。


「いつもの友人さ。」


「わかった。後で私も顔を出す。」


「よろしくねー。」


ウェバーは元気に返事をして食事に戻った。


「ベル、私も少しいいかな?」


ウェバーに続いて話しかけてきたのは、夫達の中で最年長のハレルドだった。


「なんだ?」


「昨日スルガから連絡が来た。前から目を逸らしてきた国、サザンがついに動きだしたみたいだ。」


楽しそうに食事をしていた他の夫達もそれを聞いて食事を止めた。


サザン…

ベルの記憶では、小さいけど武力国家で、好戦的な国で、他国にすぐ喧嘩を売っていた。

しかし、ベルの作り上げた国、メルデイが他の国を吸収して大きくなった時、その動きはピタリと止んだ。


戦争が頻繁に起こっていたため、ついに資金がなくなり戦争が出来なくなったと言われていたが、まさか、今回、スルガに行方不明事件を調べさせていた時にそれがわかったということは、この国に入り込んできている可能性が高いということ。


「はぁ…海の次は陸か…ノバレン、国境の警備隊に身元審査を厳しくするよう伝えておけ。今回の事件、バカがとんでもない事をやっているかもしれん。」


「私も、何故か嫌な予感がしてきました。」


ラミアートが横から入ってきた。


「スルガに追加で命令を伝えろ。ディアンベルの動きもよく見ておくようにと。」


「分かった。」


「それと、ハレルド、お前の出番かもしれん。」


私はハレルドともう1人の夫、シェルジオの方を見た。

するとシェルジオは苦笑いをして首を縦に降った。


「ハレルド、シェルジオ、今からディアンベルに行ってきてもらう。そこで、今後の協定関係について話し合ってきて欲しい。悪いが2人はすぐに出て欲しい。私も遅れて行く。」


「分かった。」


「分かりました。」


ハレルドとシェルジオは食事を再開した。


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