第19話 ドキドキ…
ノバレンが出ていって2人きりになった私たちは、お茶を飲みながら少し休むことにした。
「それにしても、さすがベルですね。綺麗に盗聴器だけをついていました。骨や神経に異常はなかったので、直ぐに回復するでしょう。」
「そうか。」
私はホッとしてつい顔が緩んだ。
心の奥から嬉しい感情が出てくる。
これはベルの感情。
ベルもかなり心配だったのだろう。
私は少し冷めた紅茶を一気に飲み干した。
「ラミアート、ありがとう。」
「いいえ。」
私が感謝を述べるとラミアートは笑顔で返してくれた。
それはもう
「惚れてまうやろ!」
とつい言ってしまうくらいの。
「ふふ。何を言ってるんですかベル。もう随分前に、私に惚れていたでしょ?」
うわぁ…これは、反則ではなかろうか。
さりげなく手を握ってくるラミアートに心臓がドキドキする。
こ、これは、どっち!?
私!?それともベル!?
「きょ、今日は疲れた。起きて早々慌ただしい一日になったな。」
「そうですね。病み上がりだというのに、大変でしたね。ゆっくり休んでくださいベル。部屋まで送ります。」
そう言うとラミアートは握っていた私の手を引いて部屋まで優しくエスコートしてくれた。
まぁ、なんて紳士。ラミアートはいつもの上品で優しいラミアートに戻っていた。
さっきの悪口オンパレードのラミアートは実は夢だった?
部屋に着くと着替えを持ってきてくれた。
「身体に異常がないか調べます。服を脱いでくださいベル。」
ラミアートはそう言うと私の着ていた服に手を掛け始めた。
私は慌ててその手を止め着替え終わるまで部屋の外で待ってもらうことになった。
「ラミアート、終わったぞ。」
「分かりました。では少しだけ失礼しますよ。」
そう言うとラミアートは私をベットに座らせ、身体のあちこちを触りながら痛みがないか、おかしな所はないかと聞いてきた。
「何も無い。」
と答えた私だが、内心は。
(何も無いわけあるか!!心臓飛び出しそうだわ!そんなにあちこち触られると興奮してまうわ!)
足を触られた時、思わずビクッとしてしまった。
「あ。」
声を発すると同時にドサッとベットに押し倒された。
「相変わらず足は弱いんですねベル。」
ラミアートは微笑んで私の髪にキスした。
あぁ、ちょっと待って。この流れは、やばい。
アカンて。
あぁ、髪から額に、どんどんキスの位置が下がってくる。
「待ってくれ。」
「嫌です。」
おいおい、紳士さんよぉ。
やるじゃねぇか!
だがしかし、私は大事なことを忘れていた。
それはそう、まだ1度も男と寝たことが無い。
つまり。
「む、むりぃ!」
頭がパンクした。
「べ、ベル!?大丈夫ですか!?」
ラミアートの声を聞きながら私は眠った。
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